最低賃金大幅引き上げの帰結
文政権では、最賃大幅引き上げによる「所得主導経済」は、雇用減少を財政支出で賄う「財政主導経済」になっています。
これは、国税収入が順調に伸びている状況下でのみ可能な話で、いつまでも続けられません。来年の最賃の引き上げ幅は2.9%に抑制しましたが、過去2年間で約30%も引き上げた後遺症は大きく、来年以降も財政が失業者救済を行う羽目となるでしょう。
こうして、文政権になって韓国財政は節度を失いました。これが、韓国の格付けに影響してきます。
現在、韓国の格付けが引き下げられる事態にはなっていません。いつまでも現状の格付を維持できる保証はありません。ムーディーズは2015年12月、韓国の国債格付けを「Aa2」に上げて以降、3年以上据え置いています。
世界の主要格付会社による韓国の格付けは、フィッチ・レーティングスは上から4番目の「AAマイナス」、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は3番目に高い「AA」としています。日本よりも2段階高い格付けを得ています。日本は財政赤字がマイナス理由になっています。
韓国は、国としての格付けに変化はないものの、一足早く韓国企業の格付けが見直し対象になっています。
S&Pは、昨年末からKCC、現代(ヒョンデ)自動車グループの格付けを下げ、SKハイニックス、Eマート、SKテレコム、LG化学、SKイノベーションなどの各付け予測を下方修正しました。今年に入って、韓国企業のうち、格付けまたは格付け予測が上方修正された事例は皆無です。S&Pは特に、「輸出依存度の大きい半導体やスマートフォン、自動車、精油、化学産業の場合、今後1、2年間は厳しい営業環境に直面するだろう」としました。以上は、『東亜日報』(7月11日付)から引用しました。
企業格付けが引き下げられる事態になれば、歳入減を伴います。サムスン電子を筆頭にして、今年1〜3月期の上場企業営業利益は4割もの大幅減益です。これは、所得税や法人税の減少要因です。
これに関わらず、文政権の放漫財政が続きます。韓国財政が細って行くのは自然なことです。
日韓経済紛争の重圧
韓国企業は、輸出依存度の高いことから米中貿易戦争の影響を大きく受けるほか、新たに日本の「ホワイト国」除外問題が加わってきます。
日本は原則、民生用については従来通りの輸出量を供給するとしています。ただ、確実に発注品が輸入されるまでは不安があるかも知れません。韓国は、文政権が登場したばかりに内外で問題を起こしています。
日本は、韓国への半導体関連3素材について輸出手続きの規制強化に乗り出しています。これは、日本の全輸出高の0.001%に過ぎません。一方、韓国は半導体が輸出全体に占める比率が25%にも達しています。そこで韓国は、「日本の0.001%が韓国の25%の死命を制する」と批判しています。日本は輸出禁止したのではありません。現に、フォトレジストの輸出は正常に行われています。