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韓国経済は崖っぷち。始まった世界同時不況で日本に頼れず「ウォン孤児」に落ちる=勝又壽良

韓国の輸出減少が止まらない

韓国の中央銀行である韓国銀行は8月8日、今年5月以降、米中貿易紛争がエスカレートし、韓国の輸出減少幅が拡大していると発表しました。

それによると、輸出減少の推移が2008年のリーマン・ショック後に起こった韓国の通貨危機や、2000年前半のITバブル崩壊当時と似ており、非常に懸念される事態であると指摘しました。

      輸出数量指数     輸出額
2019年4月 +2.2%       −6.9%
2019年5月 −3.3%       −9.7%
2019年6月 −7.3%       −13.7%
(資料:『朝鮮日報』8月9日付 数値は前年比 4月は1〜4月の平均値)

今年1〜4月の輸出額は月平均で6.9%の減少でしたが、5月には9.7%、6月には13.7%それぞれ減少するなどマイナス幅が拡大しています。7月の輸出額も前年比11%減で、昨年12月以来8カ月連続のマイナスとなっています。

輸出数量指数(造船を除く)は、今年4月は2.2%の増加でしたが、5月、6月は下落幅が拡大しています。これは、企業の操業度を下げ企業コスト高める要因になっています。

韓国銀行は輸出額や輸出数量指数の減少について、「米中貿易紛争が世界の景気と貿易の不確実性を高め、それが韓国の輸出減少の一因になった」と分析しました。その通りです。

輸出に依存する韓国経済が、真っ先に深刻な衝撃を受けるパターンが繰り返されるという見方なのです。

韓国ウォンは3度目の通貨危機へ

輸出額の減少は、貿易収支の減少をもたらし、最終的に経常収支黒字額へ響いて来ます。そうなると、ウォン相場の下落に結びつき過去2度も経験した「通貨危機」につながりかねません。韓国銀行が、「輸出に依存する韓国経済が、真っ先に深刻な衝撃を受けるパターンが繰り返される」と控え目に言っているのは「通貨危機」再来への危惧です。

6月の経常収支は、63億8,000万ドルの黒字と暫定集計されました。経常収支の黒字幅は、昨年6月に比べて10億8,000万ドル(14.5%)の減少となりました。上半期の経常収支の黒字額は、217億7,000万ドル。前年同期(289億ドル)より24.7%も減少したのです。

半期基準で見ると、欧州発財政危機の真っ最中であった2012年上半期(96億5000万ドル)以降、7年ぶりの最も少ない黒字幅でした。上半期の輸出額が前年比9.8%減少して、2年半ぶりに減少に転じた結果です。

韓国銀行は7月の経済予測で、経常収支の黒字を上半期は215億ドル、下半期は375億ドルで、今年590億ドルと予想しました。この予測は、通常下半期に輸出が集中することを計算に入れたものでした。

世界経済がリセッション入りという現実を考えれば、不可能です。韓国銀行は、この経済予測を発表して1ヶ月も経たないうちに一転して、前記のような通貨危機に備える警報を出すに至ったのです。韓国政府が、まだ事態の深刻さに気付かないのもやむを得ないでしょう。

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