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ドイツよりも日本の銀行がもっと危ない。政府の問題先送りで地銀も都市銀行も潰れていく=矢口新

ドイツ銀行が18,000人の人員削減を発表したように、日欧を問わずマイナス金利政策下の銀行はどこも経営環境が厳しい。なかでも日本の銀行は最悪の状況だ。(『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』2019年7月17日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

消費増税で事態をさらに悪化する。銀行を救う手立てはあるか?

地銀1位と3位がタッグ

地銀最大手の横浜銀行と3位の千葉銀行が7月10日、業務提携で基本合意したと発表した。長びくマイナス金利政策やフィンテックの新興企業の台頭といった逆風を受け、トップ地銀が手を組む決断をした。

政府が6月5日に開いた、国や地方の成長戦略を議論する未来投資会議(議長・安倍晋三首相)では、経営環境が厳しい地方銀行に今後10年間で集中的に再編を促す方針が盛り込まれていた。両行はいわゆるバッドバンクではないが、「経営環境が厳しい地方銀行」であることは間違いがない。

7月6日には、ドイツ銀行が全行員の2割を超える1万8000人の人員削減を発表したように、日欧を問わずマイナス金利政策下の銀行はどこも経営環境が厳しいからだ。

何年か前には、スペイン、イタリア、ギリシャの銀行の経営危機が取り沙汰されていたが、個々の銀行、個々の国の問題だけではなかったことになる。

マイナス金利政策というのは、与信(貸出し)で金利を受け取ることを否定しているような政策である。そうした政策を採る政府は、銀行産業を合理化の対象と見なしている可能性すらあるのだ。

日本の銀行はさらに厳しい

そんな中で、日本の銀行は日本の特殊事情を反映し、さらに厳しい経営環境にある。それを分かりやすくまとめてくれたコメントがあったので、以下に引用する。

多くの地銀が苦しんでいる最大の理由は、「ゼロ成長」と「ゼロ金利」にある。これはメガバンクについても同様であるが、海外で稼げるメガバンクと比べて地銀の方が一層苦しい、というわけである。

出典:地銀を過去最大の苦境に追い込んだ2つの原因 – ダイヤモンド・オンライン(2019年7月12日配信)

一般企業は、ゼロ成長でもプラスの利益を稼いでいる。利益の金額が前年と比べて増えていないだけである。そして、利益は一部が配当に回るが、残りは銀行借り入れの返済に回ってしまう。

出典:同上

銀行は、融資残高が減ると困るので、ライバルから客を奪おうとして貸出金利を引き下げる。ところが、ライバルも同じ戦略を取るので、結局客は奪えず、貸出金利の低下に苦しむことになる。

出典:同上

優良企業向けに金利を引き下げても融資残高が増えないのであれば、「本来ならば貸すべきでない、信用力に問題のある借り手」に貸すしかない。それで融資判断が甘くなっているとしたら、大問題である。次の不況期に、元本ごと失う可能性がある

出典:同上

ゼロ金利時代(厳密には若干のマイナス、以下同様)の預金部門の収入はゼロである。つまり、コスト分だけ赤字である。

出典:同上

ゼロ金利が続く限り、預金部門のコストがそっくり銀行を痛め続けるわけである。ゼロ金利は当分続きそうなので、今後の影響が心配である。

出典:同上

ここで言う「ゼロ成長」とは、日本の名目GDPが1997年に534兆円のピークをつけ、2016年になってやっと538兆円と更新できたことを指している。とはいえ、この更新は計算方法の見直しにより30兆円は上乗せされているとされるので、近年、政府官庁で目立つ数字合わせだとする見方もある。

Next: 1997年から見れば企業はほぼゼロ成長。地銀が息を吹き返す術はあるか?

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