企業、富裕層の脱出?
「担税力のある人からとる」という案に対する反論として、企業や富裕層が日本から出て行ってしまい、かえって税収が減る、というのがあります。
しかし、今や中国、米国などを中心に世界的に税逃れのために海外に逃げる企業や資産家のチェックが厳しくなり、タックス・ヘイブン(税の回避地)の縛りも厳しくなりつつあります。
また、日本ほど均質で大きな市場は海外にもそうそうなく、しかもリスクが小さいだけに、多少の税の安さで海外に出ても、中国のように資金回収もできないところよりましです。
日本市場のメリットを理解しない企業が海外に流出しても、日本が失うものは知れています。
日本にもゲイツ財団を
海外には税率が低くても、それを補う「寄付」が幅広くあって、資産家が税以外の負担をしています。
米国ではカーネギー・ホールなど、財を成した企業が寄付して市民の文化生活に貢献するものが多く、ビル・ゲイツの財団も有名です。一般の生活でもコンサートのシーズン・チケットを買えるような人には「貴方にふさわしい寄付額」が提示され、代金に上乗せして払います。その分、一般市民向けの音楽会のチケットは比較的安く設定され、ニューヨークのオペラも2,000円で観れます。
日本ではこうした寄付で運営される公共施設が少なく、それだけ音楽会もスポーツ観戦の費用も高くなっています。日本でも儲けた企業や資産家が積極期に寄付すれば、消費税などなくても、公共サービスは賄える面があります。
災害時にボランティアが広がりつつあるだけに、企業や資産家の間で寄付の文化が広がる可能性は期待できます。当面は税制面で寄付への支援、後押しを進めてはいかがかと思います。ギスギスした社会に潤いを与える面もあります。
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- 米大統領選挙時に景気後退リスク(8/21)
- 長期金利の低下に狼狽する中央銀行(8/19)
- 中国を危機に陥れる3つの爆弾(8/16)
- 消費税より担税力に応じた税制を(8/14)
- 長期金利低下が示唆する世界景気の弱さ(8/9)
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- FRBの支配権をめぐる争い(8/2)
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『マンさんの経済あらかると』(2019年8月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。