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中国と世界の株価下落は無関係 「人民元安」というスケープゴート=田代尚機

海外への資金流出懸念?それでも中国の外貨準備は日本の3倍以上

外貨準備が減少していることから、為替市場への頻繁な介入(ドル売りによる人民元の買い支え)による消耗や海外への資金流出(逃避)が心配だとする見方も根強い。

しかし、2015年末の外貨準備高は3兆3303億6200万ドルある。ピークは2014年6月末時点の3兆9932億1300万ドルであり、確かに比較的短期間で2割近く減っているものの、金額では世界第1位である。

第2位は日本であるが、2015年末の外貨準備高は1兆2661億ドルに過ぎない。中国は日本の3倍以上の外貨準備を有している

中国は金融における資本取引を原則禁止している。貿易収支は黒字基調が続いており、海外からの直接投資は昨年12月こそ8.2%減であったが、2014年9月から昨年11月までの15カ月間連続でプラスを維持している。

違法なルートで資金が流出しているが、これは海外の投資家が資金を流出させているのではなく、国内の投機家による仕業である。彼らは見つかれば全額没収されるリスクを覚悟でやっている。

こうした違法行為は1990年代から一貫して存在しており、時々の国際環境によって、流出圧力は大きく変化するが、過去の状況を見れば、当局の監督管理が強化されると収まるだろう。

中国の市場監督能力は高い

話がかなり細かくなったが、一言で言えば、金融、為替に関して、中国の市場監督管理システムはしっかりしており、国家は市場を管理できる仕組みを持っているということだ。資金流出など、たいした問題ではない。人民元は国際世論を通じて中国人民銀行によって操作されることで、安定を保たれる。懸念は無用である。

景気については前回までに詳しく説明した通り。共産党、国務院は表面的な成長率にこだわることなく、構造改革を進める方針である。その結果、成長率は落ち、輸出の減少傾向は続くだろう。しかし、それは彼らの意志に沿ってコントロールされるのであり、コントロールできずにハードランディングすることはない

米国と日本のスケープゴートにされる「中国の経済減速」

海外のマスコミ報道について一言付け加えたい。世界の株式市場が急落しているのを中国の景気減速、人民元安懸念などに求めるのには、何か特別な理由があるのではなかろうか?

アメリカは2008年以降のQE政策の失敗と金融システム不安を隠したいのではなかろうか?日本はアベノミクス、金融政策の失敗を隠ぺいしたいのではなかろうか?

自国の株価下落の要因を他国のちょっとした経済減速や僅かな為替変動に求める異常性に気付くべきである(2月13日作成、有料メルマガから一部抜粋)。

【関連】英紙が報じた「アベノミクスの末期症状」ステルス増税が日本にとどめを刺す

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中国株投資レッスン』(2016年2月18日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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TS・チャイナ・リサーチの田代尚機がお届けします。中国経済や中国株投資に関するエッセイを中心に、タイムリーな投資情報、投資戦略などをお伝えします。中国株投資で資産を大きく増やしたいと考える方はもちろん、ただ中国が好きだという方も大歓迎です。

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