fbpx

GSOMIA破棄~韓国は筋を通すべき、全責任は安倍日本にある=世に倦む日日

変わったのは韓国ではなく日本

現在、私のように村山談話を信奉する者は少数派になっている。村山談話は否定され、マスコミ報道で顧みられることはなく、存在すら忘れられた孤絶異端の状態にある。村山談話は間違った左翼思想の落とし子だったという認識が一般化している。

だが、本当にそれでよいのか。24年前に発したばかりの真摯な国家声明を、普遍的な財産とすべきものを、われわれはゴミ箱に棄ててしまってよいのか

24年前に村山談話が発されたとき、反対する者は少数の右翼しかいなかった。その中には、40歳の安倍晋三もいただろうし、49歳の櫻井よしこもいただろう。だが、経世会(橋本龍太郎・小渕恵三)も宏池会(宮沢喜一・加藤紘一)も賛成で、国内の圧倒的多数が村山談話を支持していた。先頭に司馬遼太郎が牽引役で立っていた。

村山談話が思い描く韓国の像から、韓国は変わっていない。変わらなくてよい。変わったら韓国は韓国でなくなる。日本は大きく変わった。日本の変化は逸脱で退化である。日本が元のフレッシュな誓いの姿に戻るべきなのだ。

日韓関係を破壊しているのは誰か?

安倍晋三べったりの日本のマスコミは、今回もそうだが、武藤正敏をテレビに張り付け、文在寅政権の決定や韓国国民の反応に対して、「感情的」というレッテルを貼り付けて貶め卑しめる攻撃に集中している。「韓国=感情的=非理性的」というイメージを言説工作し、テレビを動員してプロパガンダのシャワーを繰り返し、日本国民に刷り込んで固定観念化させている。韓国を矮小化している。

しかし、実際に過激でヒステリックなのは武藤正敏や右翼論者の方で、一方的に日韓関係を破壊する方向へ世論を導き、安倍晋三の嫌韓外交を正当化している。日本の国益にもならないし、韓国が受ける打撃は深刻なものだ。日韓請求権協定の解釈と運用を変えて、日本企業に補償に応じるよう促して、どうして日本の国益の毀損になるのか。

現実に、中国の元徴用工については三菱マテリアルは補償金を支払っている。韓国で商売して韓国で利益を上げているのだから、韓国の最高裁の(民事)判決に従って当然ではないか。それがビジネスの論理であり、感情を排した合理的判断だろう。

嫌韓を煽っているのは日本の政治家とマスコミ

イデオロギー・オリエンテッドに感情剥き出しで嫌韓を煽っているのは、日本のテレビ論者であり、日本の政治家とマスコミである。

そもそも、そこまで日韓請求権協定を神聖化し、厳格に遵守というのなら、なぜ、慰安婦問題で政府がカネを出して基金創設という合意に踏み出しているのか。「完全かつ最終的に解決」という文言が絶対的な拘束要件ならば、慰安婦問題で基金設立という4年前の政策行動は矛盾しているではないか。

そのことを、テレビの論者は一人も言わない。初めに韓国叩きありで、自らの論理矛盾も一切顧みず、過去の外交方針(村山談話)との齟齬にも目を向けず、感情を振り回し、テレビの前の国民の感情を操作し扇動しているのは、NHKキャスターを含めたマスコミ論者である。

少なくとも現在の日韓関係を客観視すれば、感情先行のナショナリズムを噴出させているのは日本の方で、国論が一色に染まって発狂しているのは日本の方である。日本の中には異論がない。安倍政権の韓国政策を批判する声がない。マスコミも野党も、チェック・アンド・バランスの機能を全く果たしてない。

Next: トランプは日本に譲歩を求める? 交渉を拒否しているのは日本

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー