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米中貿易戦争は市場に織り込み完了、今年1月以来の買いシグナル点灯で米株は買いか?=江守哲

米大統領3年目の変動パターンから、株価上昇局面はありそうだが…

市場では、7月末に続いて9月のFOMCでも0.25%ポイントの利下げが決まるとの見方が大勢となっています。しかし、利下げや金融緩和でインフレ率を押し上げることができないことは、日銀やECBの政策の失敗を見ても明らかです。経済構造の変化が金融政策の影響度を著しく低下させたことは、金融政策当局も理解すべきでしょう。

今週は月の第一週ですので、重要経済指標の発表があります。トランプ大統領の発言がなければ、久しぶりに材料視されるかもしれません。最近の米国経済指標はやや緩んできています。その傾向が続いているのかを確認したいところです。

特に、米雇用統計で非農業部門雇用者数と失業率に変化があるかは重要なポイントになりそうです。非農業部門雇用者数が10万人割れだった場合や、失業率が上昇した場合には、今回はかなり大きな反応になるでしょう。もちろん、ネガティブな方向での反応になりますので、注意したほうがよさそうです。

ただし、今年の株価推移や米大統領3年目の株価変動パターンから、10月いっぱいはむしろ上昇しそうな雰囲気です。とはいえ、大きく上げるわけではありません。上手くいけば、過去最高値近辺までの上昇はあり得るでしょう。

しかし、11月には大きく下落するとみています。それが見えていますので、今後上昇局面に入った場合でも、賞味期限は2カ月と割り切り、あまり無理をする必要もなさそうです。

米国の経済指標を少し見ておきましょう。前述したように、徐々に変化の兆しもあります。

4-6月期の米実質GDP改定値は前期比2.0%増と速報値の2.1%増からわずかに下方修正されました。ただし、米景気の後退懸念が強まり、1%台の成長に落ちるとの見方も一部で出ていただけに、底堅い景気動向を確認できたとの安心感が広がったようです。

特に経済のけん引役である個人消費が4.7%増と、速報値の4.3%増から上方修正されたことも好感されています。しかし、これも株価次第です。株価が下げると個人消費が落ちるのが米国の典型的なパターンです。指標は株価の遅行指標であることを理解しておきたいところです。

一方、貿易摩擦などで不確実性が高まり、設備投資が13期ぶりのマイナスに沈んでいます。設備投資は0.6%減と、16年1-3月期の0.6%減以来のマイナスとなりました。また、住宅投資は2.9%減(同1.5%減)へ引き下げられ、6期連続のマイナスでした。これらの指標は非常に弱いといえます

輸出は5.8%減(同5.2%減)に引き下げられました。輸入は0.1%増で変わらず。世界経済の減速を受けて海外需要が落ち込んだほか、中国からの輸入品に対する追加関税の引き上げなどが響きました。

24日までの週の新規失業保険申請は21万5,000件と、前週比4,000件増加しました。失業保険受給者総数は17日までの週で169万8,000人と、2万2,000人増加しました。徐々に雇用指標も緩み始めているように見えます。

一方、6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前月比横ばい、前年比2.1%上昇でした。

米コンファレンス・ボード発表の8月の消費者信頼感指数は135.1と、前月の135.8から小幅低下しました。現況指数は177.2(前月は170.9)に上昇しましたが、期待指数は107.0(同112.4)に低下しました。

現在の景気に対する認識は「良い」との回答が42.0%(前月は39.9%)に上昇しました。「悪い」は9.8%(同11.2%)に低下しました。雇用については「求職が多い」が51.2%(同45.6%)に上昇する一方、「求職が困難」は11.8%(同12.5%)に低下しました。今後半年間の景気見通しは「改善する」が21.9%(同24.0%)に低下。「悪化する」は10.0%(同8.4%)に上昇しました。

消費者信頼感指数は逆張り指標です。高くなりすぎると、株価のピークを示すことがあります。もしかすると、7月の数値が高水準でしたので、それを示唆していた可能性がありそうです。

Next: 9月のFRB会合、逆イールドなど…目先の株価変動要因は?

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