今年1月以来でリスク資産に買いシグナルが点灯
いずれにしても、米中の通商協議がどのような結末を迎えるのかは不明です。トランプ大統領が再選されるようであれば、さらに先延ばしされる可能性もあります。そうなれば、まだまだ不透明感が払しょくされず、永遠に混乱状態や不安な状況が続くことになります。
このような状況にいかに対応できるかが、いまの市場でもっとも求められることでしょう。そのために、様々なことに目を向けながら対処していくことが肝要です。しかし、最終的にやることは、「買うか、売るか、見送るか」だけです。できるだけ確実なところでトレードすることが肝要です。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)は、市場のセンチメントを示す指標であるブルベア指数がきわめて弱気な水準に低下し、株式などのリスク資産への「逆張り」的買いシグナルが出たとしました。ブルベア指数は前週の2.4から1.3に低下しましたが、リスク資産の買いシグナルが出るのは今年1月以来とのことです。
このときは、その後株価は4月まで上昇しています。現在は、米中貿易戦争や世界的な景気後退懸念で、株式を売って債券や金を買う動きが続いています。8月28日までの週は、債券に124億ドル、金には19億ドルの資金が流入。株式からは76億ドル流出し、年初来の累計流出額は2,040億ドルとなりました。
このように考えると、いまは市場心理的には「買い場」とも言えます。その結果、前回のように3カ月程度上昇基調が続く可能性がありそうです。「Fear and Greed Index」は23に上昇してきました。一時は18まで低下していました。投資家心理も徐々に底打ちの可能性が示されています。そうなると、11月ごろまで堅調に推移し、株価も高水準が維持されることも想定されます。
しかし、繰り返すように、今年の11月は鬼門と見ています。過去のデータからも、いったん調整する可能性が高いことが示されています。上昇に転じた場合には、まずは10月いっぱいまでの上昇を視野に見ていくことになるでしょう。上昇すれば、過去最高値を目指す上昇になる可能性も出てきそうです。
S&P500は8月23日の週までに4週連続で下げました。ただし、30日には下げ止まり、反発しました。このパターンでは、今後1年程度は上昇しやすい傾向があります。とはいえ、下落しているときもありますので、注意は必要です。
直近では、5月に4週連続下げましたが、その後に7月後半まで大きく値を戻しています。これがまさに指摘しているパターンです。しかし、その後は下げていることからいったんは戻すかもしれませんが、長期的になものになるかについてはやはり注意は必要でしょう。
一方、米国ではFRBが重視するPCE物価指数が全く伸びません。これで底堅い個人消費を支える所得が落ち込めば、景気の足を引っ張る可能性があります。パウエルFRB議長は、「インフレ率目標の下振れは一時的」と説明していますが、FRB内には低インフレが長期化すれば、物価が継続的に下落して、景気が悪化するデフレに陥るとして、追加利下げを推す意見があります。