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米中貿易戦争は市場に織り込み完了、今年1月以来の買いシグナル点灯で米株は買いか?=江守哲

11月6日までにS&P500が2,738ポイントを下回れば買いの局面も

ところで、FRBが公表した7月の公定歩合会合の議事要旨では、12地区連銀のうちNY連銀を含む6地区連銀が公定歩合の据え置きを提案していたことが判明しました。5地区連銀が0.25%ポイントの引き下げ、1地区連銀が0.50%ポイントの引き下げを提案しました。公定歩合会合はFRBが08年以来初めてとなる利下げを決定した7月30・31日のFOMCの1週間前に開かれましたが、この時点でFRB当局者の見解が予想よりも大きく分かれていたことが示唆されました。

公定歩合会合の議事要旨によると、据え置きを提案したのはNY連銀、ボストン、クリーブランド、アトランタ、カンザスシティー、リッチモンドの各地区連銀で、0.50%ポイントの引き下げを提案したのはミネアポリス連銀です。

FRBは7月30・31日のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.00-2.25%に0.25%ポイント引き下げることを決定しましたが、利下げは8対2で決定され、カンザスシティー連銀のジョージ総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁が金利据え置きを主張しました。一方、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はこれまでも0.50%ポイントの利下げを主張しました。一方、クリーブランド連銀のメスター総裁は今月に入り、7月の利下げに反対する姿勢を表明している。

こうなると、市場では100%織り込まれている9月のFOMCでの利下げですが、決定に至るまでかなり紛糾する可能性がありそうです。そうなると、将来の利下げに対する不透明感の台頭で、市場の混乱を招く可能性があるでしょう。

ところで、市場が注目しているのは2-10年債利回りスプレッドですが、私は3カ月物Tビルと10年債利回りスプレッドにも注目しています。これが逆イールド化したあと、かなり早く株価がピークアウトする傾向があることがわかっているからです。

場合によっては、株価がいま以上に上昇せずに下げに転じてもおかしくない状況です。住宅着工件数とのサイクルなども考慮すれば、10月までには方向性はかなりはっきりすることになりそうです。ちなみに、住宅着工サイクルでは、10月までに米国株はピークアウトすることになっています。参考にしてください。

今後も米中貿易戦争の影響で乱高下するでしょう。しかし、株安で慌てて前言撤回のパターンを市場はすでに理解しているはずです。したがって、厳しい発言が飛び出し、株価が急落した場合には、むしろリスクをとって買ったほうが良いとの判断になるでしょう。

このようなトレードは非常に面白いのですが、やはりリスクがあります。それよりも、素直に市場動向を見ていくほうがリスクは小さいでしょう。いずれにしても、「国防は経済に優先する」という言葉が重要です。厳しい態度が鮮明になってきましたので、注意が必要です。

また、繰り返すように、米中間選挙から1年後に株価は下げていないという過去データがあります。これをもとに考えると、11月6日時点でS&P500は2,738ポイントを下回らないということになります。11月6日までにここまで下げれば、いったん買うとよいでしょう。

ちなみに、5月末の下げでこのような状況になったとき、買いを仕込んで大幅な利益に結び付いたことは、すでにメルマガ読者の皆さんはご承知の通りです。大きな下げた到来した場合には、11月までは押し目買うをぜひ検討したいところです。

ただし、11月6日以降は関係ありません。かなり高い確度で調整モードに入ることになるとみています。

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本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2019年9月2日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した米国市場金、原油各市場の詳細な分析もすぐ読めます。

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