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米中貿易戦争は市場に織り込み完了、今年1月以来の買いシグナル点灯で米株は買いか?=江守哲

8月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.5で、確実に表れている

一方、中国共産党は30日に中央政治局会議を開き、10月に重要会議である第19期中央委員会第4回総会(4中総会)を北京で開くと決めたもようです。主要議題は「国家統治能力の現代化」などとされ、米国のトランプ政権との貿易摩擦が続く中、新たな方針を打ち出す可能性があります。

4中総会は昨年秋に開かれる予定でしたが、対米関係の悪化と同時に経済の不透明感も強まったため先送りされました。今月上旬に河北省の避暑地、北戴河で開かれた非公式会議を経て、習近平国家主席は対米方針などについて長老らも含めて党内の合意を得たもようです。

17年10月に2期目の習指導部が発足した後、国家主席の任期制限の撤廃をはじめ、習国家主席の権限を強化する動きが続いていました。しかし、逃亡犯条例改正をめぐる香港の混乱もあり、習国家主席の強権的な手法への反発が広がっており、4中総会の議論が注目されています。

中国は米国からもやり込められ、いまや香港の民衆からの突き上げに遭っています。これで強硬姿勢に出れば、世界の各国から強い非難をされることは必至です。

しかし、この香港の騒動は、米国が仕掛けた可能性もありそうです。

その中国の8月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.5でした。回復が期待されましたが、再び低下傾向に入っています。
米中貿易戦争の影響が着実に出ている
といえます。

中国は米国の制裁関税「第4弾」発動を前に、事実上の対抗策として人民元安の容認に転じました。米国による関税の影響を最小限に食い止めるのが狙いのようですが、報復関税だけでは米国と競えない事情もあります。

人民元の対ドル相場は11年以上にわたって1ドル=6元台を維持してきました。中国当局は7元を「心理的な防衛ライン」と位置付け、市場介入で6元台を守ってきました。しかし、当局は8月5日に7元台入りを容認しました。

これにより、中国の政策が大きく転換した可能性を指摘する声があります。この結果、人民元安が進み、月末には7.15元付近を付けました。市場では7.2~7.3元で「第4弾」の影響をほぼ相殺できるとの見方があります。そうであれば、中国は米国の圧力に屈しない可能性もあります。

米国は「為替操作国」認定で中国をけん制するとともに、制裁関税の税率引き上げにより圧力を強化する方針です。しかし、すでに制裁関税をかけており、この認定はほぼ形骸化しています。

一方、中国は、過度の人民元安が国外への資金流出を招き、金融市場を混乱させることを警戒しています。一段の人民元安には慎重姿勢を示しています。制裁・報復関税の対象額は第1~3弾が米国2,500億ドル、中国1,100億ドル。第4弾(12月実施分を含む)は米国3,000億ドル、中国750億ドルで、貿易不均衡を背景に中国側の劣勢が際立っています。

市場では、中国による人民元安容認に加え、レアアースの輸出制限や米国債の売却、米企業との取引制限などに動くとの観測もあります。ただし、いずれも効果は限定的とみられ、米国の攻勢を前に有効な対抗策を打ち出せないのが実情です。中国もかなり大変な状況にあることだけは確かです。

Next: 米中の通商協議を受けて、投資家はどんな対処をしていくべきか?

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