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今後の上昇はあくまで中間反騰、主力は売り方の「踏み上げ相場」に=山崎和邦

(7)過去30日間、世界の主要国の株価市場の中で日本株の変動率は年率約-45%で最大であるが…

我々が最も気にするし現に最も連動性の高いNYダウでさえ過去30日間は、-20%だ。

先週末に騰落レシオが100%に戻った事は一応の落ち着きを見せたともいえるが、先週半ばで日経平均VIがなお34%(12日は50%)と高水準に居るということは市場プレーヤーたちが波乱は収まったとは思っていないという事を象徴している。

マイナス金利下で明らかに有利なのは例えばリース大手等のように常に資金の仕入れを必要とする稼業であるが、株式市場には先週号で述べたような不安要因を孕んでいる。

ましてや、世界の環境が原油問題・中国経済・アメリカ自体の不透明・途上国からの資金引きあげ、等々が解決されてないし早晩解決されると言う筋合いでもない。

だが、金融市場の稼働資金は逞しい。僅かの変化でも見のがさず大きな行動に出る。完全解決は不能でも解決の方向に向かう気配があるという匂いを嗅ぎ取っただけで完全解決と同様な動きをとるだろう。

人を出し抜くこと(ケインズの言葉で言えば「beat a person to it」)を絶えず考えている人種のやることはそういう動きを呼ぶから、必ずしも全面解決に至らなくもその予兆が少しでも見えれば市場は動き始めるであろう。

FRBは昨年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切ったが、その直後から次の利上げへの慎重論が出ている。これは米景気そのものに対する懐疑からである。非製造業景況感指数が急激に下がっていることも効いた。(だが、好不況の境界線である50%よりは上に居る)。米では四半期のGDPが2度連続マイナスになれば景気後退とされる。

我が国でも経済企画庁が健在な頃(2013年頃に内閣府に統合された)は米と同じ判断基準を客観的に保有していたが今は政治的配慮も加味されて多少曖昧になった。

米は依然として従前の判断基準を保持している。それによると2月現在で見て12カ月以内に景気後退に陥る可能性は31%あると言う。(JPモルガン試算)。

NY株価が昨年5月の18,300ドルを以て大天井を既に付けたと本稿で昨秋来から述べたのは、単純な根拠からだった。今までNYダウが大相場になった6回の内、日柄は4年~6年、上昇率は2倍半~3倍、という単純な事実からであった。

図7 NYダウの上昇サイクル

図7 NYダウの上昇サイクル

市場は過去を記憶して動く生き物だから、という単純明快な事実からであった。だが、それは現在に至って事実、大天井だったということになりそうだ。真相は意外に単純な所にある、という筆者の思いもあった。


今回ご紹介した山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付) 2016年3月6日号では、この続きとして以下の内容を山崎氏が解説しています。

(8)空売り筋は売った瞬間から買い方の味方に変ずるという当たり前の事実

(9)W.バフェット氏「株主への手紙」公開

(10)従来、世界経済混乱の救世主は米国であったが…

(11)マイナス金利に関する論議;後編

(12)景気先行き懸念──4年ぶり減収減益

(13)Kさんからの「大勢下限時代に買う銘柄について」の回答(2月29日)

(14)「若林英四氏に関する」Kさんとの交信(3月2日)

(15)Oさんからの「遺産で受けた投信類」についての交信(29日)

(16)Hさんからの「12日を下回る下値はあるか、あればどのくらいか」に関する質問(2日、夜)

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【関連】黒田日銀の白旗宣言inNY~異次元緩和の失敗を示すマイナス金利政策=吉田繁治

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