5F分析の結論!
東芝の原子力事業では5Fのうち3つに×が付きました。もちろん、全て◯が付くような事業はほとんどありません。また、5つの力がそれぞれ同じというわけではなく、他が◯でもひとつ×が付けばそれだけで厳しい競争となることもあります。
私は東芝の原子力発電事業は厳しい競争環境に置かれ、必ずしも魅力的な業界ではないと考えます。特に大きいのが買い手の力です。入札で競う業界では、最終的にコストギリギリまで下げた価格を出すことが多く、それは利益を出しにくい構造であることを意味します。
5F分析は絶対ということはありませんが、業界に対する理解を深めるのに力を発揮するでしょう。
東芝の2016年度事業計画説明会に関する所感
3月18日に行われた、東芝の2016年度事業計画説明会に関するコメントを掲載しました。
※栫井駿介(つばめ投資顧問代表)@tsubame104 – Twitter
東芝の2016年度事業計画説明会資料を要約。「東芝メディカルと白物家電が売れてよかった。社内体制もちゃんと整えるよ。残った3事業(エネルギー・社会インフラ・ストレージ)はこれまでの計画通りに進めるよ。」要は以前と何も変わらないといいうこと。
— 栫井駿介(つばめ投資顧問代表) (@tsubame104) 2016年3月20日
エネルギーはグローバル競争が熾烈で、利益を出しにくい構造。ストレージは事業を続ける以上巨額投資が必要だが、常に製品価格下落リスクを負っている問題児。唯一安定収益は社会インフラのみ。
— 栫井駿介(つばめ投資顧問代表) (@tsubame104) 2016年3月20日
会社全体としてどういう方向に行こうとしているかメッセージが全くない。未だに縦割りの組織文化が幅を効かせている印象。日立が2009年に改革を行った時は「社会イノベーション事業の強化」を謳い、それとは関係のない事業から撤退した。その後の復活はご存知の通り。
— 栫井駿介(つばめ投資顧問代表) (@tsubame104) 2016年3月20日
本当の改革は噂されている室町社長の交代後になるのかも知れない。もしそうだとしたら、その時を待つしかない。最悪なのは、これで気が緩んで何も変わらないこと。今のままでは事業リスク>利益創出ポテンシャルとなり、高く評価することは難しい。
— 栫井駿介(つばめ投資顧問代表) (@tsubame104) 2016年3月20日
『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年3月19,20日号)より
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。