スティグリッツ教授による消費税凍結と財政出動の提言について、大手メディアが公正とは言い難い「報道しない権利」を行使しています。同教授の「TPPは悪い協定」との見方も、日本農業新聞以外は全スルーです。ぜひ拡散にご協力ください。
記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年3月19,21日号より
※本記事のリード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
スティグリッツ教授の提言に混乱し、報道しない国内メディア
「消費税凍結や財政政策が正しいの!?」
情けない話ではありますが、スティグリッツ教授の来日と提言で、何となく「財政政策やむなし」の雰囲気が醸成されつつあります。
と言いますか、「え!? 消費税凍結や財政政策が正しいの!?(正しいです)」と、マスコミが混乱しているように思えるのです。
最も混乱しているのは、この新聞。
政府が内外有識者の意見を聴く国際金融経済分析会合は、消費税増税延期や補正予算編成のお墨付きを得るためではないか。そんな臆測が強い。都合のいい部分だけを取り出してもらっては困る。<後略>
中日新聞(東京新聞)は長年、反消費税の論陣を張っていたはずなのですが、なぜか社説で怒っています。しかも、
「教授はやみくもに財政出動を促したわけではない。むしろ法人税減税は投資に寄与しないから反対し、炭素税や相続税、株などの譲渡益課税については増税すべきだと主張した」
と、スティグリッツ教授の持論(法人税減税反対はわたくしの持論でもありますが)を持ち出し、財政出動に反対する「印象」の書き方をしており、わけが分かりません。
現在の日本にとって正しい政策とは
現在の日本にとって正しい政策は、
- 消費税増税は凍結・延期(もしくは消費税減税)
- 需要創出のための財政出動
- 特に必要な財政出動はインフラへの投資
- 法人税の無条件減税は投資拡大効果が薄いのでやらない
であり、少なくとも「消費税増税凍結・延期」は中日新聞のお気に召すはずなのですが、社説で猛烈に批判しています。ついでに、
「具体的には賃金上昇と労働者保護を強める政策、財政出動なら教育や若者の健康への政府支出を求めた。」
と、中日新聞は書いています。実際には、スティグリッツ教授はインフラ投資に(も)支出するべきと語ったのですが、そこはスルー。と言いますか、インフラ投資について書いた記事は、ほとんどありませんでした。
今回のスティグリッツ教授の提言は、各メディアが公正とは言い難い「報道しない権利」を駆使しています。(今さらですが)