用意も準備も何もないところで路頭に迷う
金融経済が破裂しても実体経済とは関係ないのではないかと思うかも知れないが、その逆だ。
金融経済が破裂すると、あらゆる業種の企業が大損失を受けるのだから、実体経済は「不況」という形で大きく巻き込まれる。
不況がやってくれば、何が起きるのか。
モノがことごとく売れなくなるのだから、企業は収益悪化に耐えきれなくなり、コスト削減を徹底的に行うことになる。
企業にとって常に巨大なコストは「従業員」である。だから、コスト削減はすぐにリストラという形を取る。
金融経済が大きく破裂すると、すぐその後に、底なしのリストラ地獄が社会に襲いかかっていくのだ。次の経済ショックは、かなり大きな確率で「必ず」やってくるが、そうであればリストラ地獄もまた「必ず」やってくるということになる。
多くの人がリストラに巻き込まれる。
キャリアアップのために転職するのではなく、会社が傾いてリストラされる人は用意も準備も何もないところで路頭に迷う。
これだけでもかなりキツい状態だが、世の中が一気に不況になった場合、新しい仕事はなかなか見つからない。見つかっても条件の悪い仕事に安い給料でも妥協するしかなくなる。
それに耐えられなくなって再び転職することになると、さらに条件が悪くなっていく。そうやって、社会の荒波に揉まれて転がり落ちてしまう人が続出することになる。
日本には巨大な「アンダークラス層(貧困層)」が誕生する
そして、日本には巨大な「アンダークラス層」が誕生することになる。
アンダークラス層というのは、『労働者階級の一部ではあるが、労働者階級としての基本的要件すら欠いているために、極端に貧困で、多くの困難をかかえる人々のこと』と早稲田大学人間科学部教授の橋本健二氏が定義している。
デフレが続いている今もアンダークラス層がじわじわと増えているのだが、この層が次の経済ショックで一気に増加する。