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トランプも新型コロナ不況に打つ手なし。金融政策行き詰まりの危険な帰結=斎藤満

日米が財政シフト

トランプ政権は今回の新型コロナウイルス感染に伴い、株が急落する事態を重く見て、FRBに引き続き利下げ圧力をかける一方で、数千億ドル規模の財政政策を打つ意向を示しました。

給与減税が柱で、あとは被害の大きい空運や中小企業支援を柱とするものでした。

しかし議会とのすり合わせがうまくゆかず、ここまでは欧州からの入国制限や中小企業向け融資支援などにとどまっています。

しかし、秋の大統領選挙を考えれば、株価の下落を放置できず、景気に足を引っ張られないよう、最後にはまとまった規模で財政出動する可能性は高いと見られます。

リスク・プレミアムが金利押上げ

そこで注目されるのが、金利の反応です。

ニューヨーク市場はすでに株式市場が壊れてしまい、連日のようにダウが1,000ドル単位の上げ下げを繰り返しています。

その陰に隠れて目立ちませんが、実は長期金利の動きもかなり荒っぽくなっています。トランプ大統領がコロナ対策として給与減税を柱とした財政政策の意向を示しただけで、10年国債の利回りは0.5%前後から0.8%台に急騰しました(編注:原稿執筆時点3月17日。その後、米国の長期金利はさらに急伸して1.2%台となっています。)

これだけ変動幅が大きくなると、株式投資家ばかりか、債券投資家にもケガ人が出ます。相場変動が大きくなり、リスクに耐えられない投資家が株や債券を売って市場から退出すれば、相場はさらに下落(金利は上昇)します。

債券相場が不安定になると、今日の世界では市場が一段と不安定になる面があります。

長年、大規模な金融緩和が続き、超低金利が続いたため、新興国から先進国に至るまで、各国で債務が異常に膨張しています。中国では総債務残高がGDPの3倍を超え、米国では企業が株価を押し上げるために社債を大量発行し、自社株買いを進め、さらに低格付け企業へのレバレッジド・ローンが急増しました。

また昨年まで米国では多くの中小業者が債券発行で資金調達してシェールオイルの採掘を進め、米国はついに世界一の産油国にのし上がりました。シェールオイルの増産が大きく貢献しています。

半面、多くのシェール企業は信用度が低く、その資金調達が不安定なジャンクボンドに依存しています。

Next: そこで金利が上昇すると、真っ先に売られるのは、リスクの大きい――

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