「森友学園」の本質は土地不正取引と公文書改ざん
ここまでは、いままでの政治がらみの案件であり、よくある政治家の口利きであったり、金銭授受の汚職問題なのですが、森友学園問題は、土地不正取引が前半戦であれば、そこから今度は官僚の公文書改ざん問題へと発展していくのです。
つまり、森友問題は
・土地不正取引
・公文書改ざん
のふたつの側面があるのです。
私立学校建設許認可に政治家の口利きがあったかというのは、付随した問題で、それは大阪府の問題です。
また、籠池元理事長の助成金不正受給は、この問題の本質ではありません。
これらは国会で答弁するものではなく、大阪府とやり取りする話で、籠池夫妻は、本質とは関係ない助成金詐欺で告訴されたのです。
かつて耐震偽装問題が発覚したとき、マンション販売会社ヒューザーの小嶋社長が「宅建法違反」で起訴されたのと同じように思えます。あの問題のときでも、伊藤公介国土庁長官の名前も出ていましたが、ことの本質にまでは、たどり着けませんでした。
この後半部分の「公文書改ざん」問題で、大切な命が失われているのです。
それが今回の週刊文春で遺書が取り上げられた、赤木俊夫近畿財務局職員の自殺という痛ましい出来事です。
なぜ赤木氏は自殺しなければならなかったのか……。
そもそもなぜ、土地取引に関する公文書が改ざんされたのか……。
誰の命令で改ざんが行われたのか……。
遺書から明らかになったことは、自殺ではなく、組織ぐるみの殺人であると言っても過言ではありません。
「全て佐川局長の指示です……」。
佐川宣寿理財局長(当時)が名指しされています。
赤木氏の手記に登場してくる実名者は、全員が出世しています。佐川理財局長が国税庁長官になったことは、マスコミでも取り上げられていましたね。
赤木氏夫人は、佐川氏と国を相手取って裁判を起こしました。
賠償金額1億1,000万円、安い金額だと「認諾」と言って、こちらの主張を丸呑みしてお金で解決しようとする動きを封じ込めるための金額だそうです。
お金が欲しいわけではない、真実を明らかにしたいだけです。
なぜ赤木俊夫氏は自殺しなければならなかったのか……。
未亡人となった赤木夫人は、佐川氏の自宅を訪ねました。一度見て見たいということで、初めて佐川氏の自宅に行ったそうです。面会を求めたわけではありません。
そのときの赤木夫人の言葉です。
「この町は幸せそうな町ですね。だけど、佐川さんも佐川さんのご家族もきっともう幸せではないのですね。佐川さんもかわいそう……」
佐川氏は何故、赤木氏にあんなにきつく、改ざんを強要しなければならなかったのだろう。佐川氏も、何らかの指示、しがらみの中でやらされたのだろうか、そのことも含めて、真実を明らかにしたいと述べています。
佐川氏の自宅を訪ねたのは、佐川氏と国を訴える前日のことだったそうです。
「佐川さんもかわいそう……」
翌日に訴える人に投げかける言葉なのでしょうか。
公文書を改ざんするために官僚になったわけではないでしょう。改ざん指示は、官僚のど真ん中のプライドを、官僚としての自負をまさに踏みにじる行為で、命を落とすまでのことなのだということを、まざまざと知らされました。
忖度という言葉がなんども出ていましたが、忖度で人を殺せるとは思いもよりませんでした。
これを単なる佐川氏というパワハラ官僚の個人的な行為で終らせてはいけません。自殺した赤木氏の気の弱さにすり替えてはいけません。
巨悪を眠らせてよいのでしょうか。
「ターニングポイントは首相答弁……」
3月23日、この日の国会で、安倍昭恵夫人の国有地取引などへの関与を追及された安倍首相が
「私や妻が関係しているということになれば、まちがいなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。全く関係ない……」
この後から公文書から安倍昭恵夫人の名前が全て消去され、この2日後から、公文書改ざんが始まりました。
手記には、改ざんは全て本省からの指示だとあります。
ここまで明確に書かれているのに、財務省は再調査をしないとそうそうに表明、安倍総理も麻生財務大臣も、まったく受け付けないでいます。
それでも安倍政権支持率は上昇しています。それがこの国の民意なのでしょうか、それがこの国の国民、の政治リテラシーなのでしょうか……。