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辞任の安倍首相は何を間違えた?コロナが示した各国リーダーの力量=斎藤満

国と自治体、どっちに従えばいいのか?

一党独裁の中国や独裁的大統領を抱えるブラジルなどのもとでは、指示がストレートで、直接国民に伝わる分効率的と見えますが、間の組織がトップに反対の姿勢を見せると職を解かれ、民主的な歯止めがかかりません。

半面、民主国家では、大統領・首相などトップの下に、地方自治体があり、さらに民間団体・国民層があり、いわば3段階のフィルターがあります。

指示命令系統が多い分、効率が悪く、時間がかかる面があるものの、トップが機能しなくても、自治体や国民レベルでカバーできる面もあります。

日本の場合、政府と地方自治体のトップとでいうことが異なり、国民から見ればどちらに従えばよいのか、わかりにくい、との不満も聞かれました。政府は「Go Toトラベル」を企画して旅行を促す一方で、東京都などは旅行、帰省の自粛を求めました。

政府も自治体も「お願い」ベースの要請で、罰則付きの規制は行わない分、国民の行動にもばらつきが見られます。県をまたぐ移動はしないよう「お願い」しても、これに従わない人も少なくなく、ソーシャル・ディスタンス、マスクの着用を「お願い」しても、公共の場でもマスクをしない人も多く見かけます。

国民の良心に任せるしかないのですが、幸い、日本ではマスクに対する抵抗感が少ない分、欧米よりも着用が多くみられます。

政府が緊急事態宣言を発動した当時よりも感染者が多くなり、検査の「陽性率」が高くなっても、政府は再び緊急事態を宣言せず、政府の判断基準に統一性がないとの批判もあります。

特に、東京や沖縄では10万人当たりの感染者数、1週間ごとの増加ペース、陽性率などから「宣言再発動」でもおかしくない状況でも動きませんでした。この政府の一貫性のなさも、コロナによって改めて確認される結果となりました。

感染者数「だけ」に注目させる報道

新型コロナウイルスについては、従来のインフルエンザ・ウイルスなどとは異なり、新しいウイルスで、その実態がよくわからないということはあるにしても、政府の発表や報道は感染者数に偏重した感があります。

新型コロナの特性についての説明、研究結果の説明も少なく、その間に、国によって、あるいは国内にも「ただの風邪」との見方もあれば、死に至る恐ろしいウイルスとの認識もあります。

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