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半沢直樹以上に劇的。大戸屋への敵対的買収成功のコロワイド次の難題は?=栫井駿介

コロワイド社長「生殺与奪の権は、私が握っている」

コロワイドといえば、牛角や温野菜、かっぱ寿司、甘太郎などを運営する会社です。現在、国内4位の外食グループとなっています。

成長の要因は、なんといってもM&Aです。居酒屋「甘太郎」をルーツに持つ会社ですが、2004~2016年頃にかけてステーキ宮、牛角・温野菜(レックス・ホールディングス)、かっぱ寿司、フレッシュネスバーガーなどを次々に買収しています。「大きいは正義」を地で行く会社です。

特に創業社長の蔵人金男氏が強烈な個性の持ち主のようで、最近の社内報でも
「未だに挨拶が出来ない馬鹿が多すぎる」
「個人的に張り倒した輩が何人もいる」
「生殺与奪の権は、私が握っている」
「どう生きて行くアホ共よ」
などの過激な表現を行い、物議を醸しています。

特にこの「生殺与奪の権」は、漫画「鬼滅の刃」でも用いられた表現で大きな話題になりました。「金男」という名前も、いかにもドラマで出てきそうです。大戸屋の経営陣は、こんな人に「生殺与奪の権」を握られてしまったのです。

実はヤバい?コロワイドの懐事情

ところがこのコロワイド、私から見る限り決して経営がうまいとは思えない会社です。

それを端的に表すのが、利益率の低下です。売上高こそ伸びていますが、これは買収による肥大化で達成されたものであり、必ずしもより効率的な経営を行えているわけではありません。

業績推移(百万円)

運営する店舗を見ても、強みといえば「安さ」くらいのように感じます。規模で単位あたりのコストを引き下げ、最安値価格帯でも何とか利益を出せるようにしているのです。現社長の野尻氏は証券会社出身ですから、M&Aばかり使った成長はいかにも金融屋が考えそうな戦略です。

M&Aで成長を遂げてきた会社で最も見るべき財務指標は「のれん」です。

「のれん」とは、会社を買収するにあたって簿価に上乗せして支払った金額です。もし買収した企業がうまく利益を生まなければ、のれんは損失として計上されることになります。

コロワイドの「のれん」の数字を見ると、718億円と資本の325億円を大きく上回ります。もし、のれんが全額損失になってしまうと、コロワイドは途端に債務超過に陥ってしまうのです。大戸屋の買収により、コロワイドの「のれん」はさらに増えることになります。

Next: コロナ禍で売上半減。大戸屋はこの先生き残れるのか?

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