ドコモ完全子会社で「料金値下げ」強行か
菅総理は一番の政策として「携帯電話料金の値下げ」ということを言っています。これが、このNTTドコモの完全子会社化の動きを加速させたのではないかと見られます。
というのも、この買収自体はコロナ禍の4月から検討されていたということが、今回の発表資料に出ているのですが、菅総理の誕生を受けて、今にもやらなければいけないというような動きがあったのではないかと考えています。
その理由が、2つあります。
1つは、この料金の値下げということがもちろんあるでしょう。というのも、NTTは筆頭株主が財務大臣32%ということになってるわけです。もともと電電公社ですから、国が民営化して売り出したというのがこの会社の始まりということになって、まだその株式をすべて売ることはなく、32%を保有しています。
それだけの筆頭株主なので、政府の意向には逆らえないような人たちがいるところですから、国が値下げするとを言ったら値下げしないわけにはいかないと考えられます。
一方で、ドコモはいかにも上場会社として、値下げに関してはのらりくらりとかわしていた部分があります。けれども、この買収と政府の意向も受けて値下げが加速するのではないかと見られています。
いくつか新聞記ことを見ましても、ドコモがなかなか煮え切らずに料金を下げないところをしびれを切らして親会社であるNTTが買収をかけたという風にも言われています。
となると、これからこの料金を下げる可能性の高い、ドコモを買収したNTTというのが最終的には収益の面で損を被ってしまうかも知れませんし、会社の損というのは株主の損なので、結果、NTTの株主が損失を被るということになりかねません。
損失を被るのはNTTの株主たち?
またもう1つ、このNTTの株主が損をしているのではないかと考えられる点がありまして、それがNTTドコモの株価の推移です。
これを見ますと8月末に安倍総理が辞任を発表し、菅さんがいよいよ総理になるのではないかと言われている時に、過去にも携帯料金の値下げという話をしていましたから、そこから携帯会社の株は下落していきました。
先ほど4月からこの買収の検討していたということですが、実際8月頃からいくらで買収するのかというような話を始めたそうです。
それが8月11日に3,400円と、それから25日に3,600円、そしてこの株価が下がり始めてから出した数字というのが9月2日に3,750円、9月17日に3,800円、そして最終的に9月25日に3,900円という金額が決定しました。
ここにおかしな点があります。
というのも、目下この菅総理の誕生によって株価が下がっている中で、このTOB価格というのは交渉の中でどんどん上がっていっているわけなんです。
確かにこのTOBをかける時というのは現在の株価に対してある程度の上乗せ価格支払わないと、買い取られる方の株主に失礼だということになるので、上乗せすること自体は問題ないのですが、ただこの株価が下がっている中で、あえて高い価格を提示するというのが、ちょっと状況がよくわからないわけです。
しかも菅総理の単純の誕生によって外部環境が悪い中で、これが上がっていくというのはどうしても不可解と思わざるを得ません。
すでに66%の株式を持っていて、どんな価格であってもこのTOB成立することがほぼ確実な案件です。
だったらわざわざ高いプレミアムを支払わなくても、現在の価格に少しだけでも上乗せして、この価格なら3,000円くらいにしてしまえば、おそらくほぼ確実にTOBを成立したと言えるわけです。
当然、40%のプレミアムで買い取ってもらえたドコモの株主は得をしたということになりますが、一方で、誰がそのお金を払うのかというとNTTが払うことになります。
ですので、そこで利益が減ってしまったのを誰が被るかというと、最終的にはNTTの株主ということになります。