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コロナ後の「世界最強市場」マザーズ指数14年ぶり高値はバブルなのか?=栫井駿介

株価に比例していない業績

新型コロナに対応したDX(デジタルトランスフォーメーション)などの銘柄が非常に力強く上昇しているということがわかります。

では、業績も上昇しているのか?というと、必ずしもそうとは言い切れないところがあります。

コンセンサス(アナリストが発表しているものの平均)に対するPERに関しては、そもそもメルカリとラクスは赤字になっています。さらにfreeeも予想利益に対してPERは140倍もありますし、弁護士ドットコムに至っては1,200倍ととんでもなく高い数字になっています。

つまり、いずれもまだそこまで利益がついていないのに、それを大きく上回る、何百倍にもなるような株価がついているということになるわけです。

成熟企業だったらこんなに高いPERというのは到底容認されない水準なのですが、一方で今は先行投資の段階だからコストがかかっていてあまり利益が出ていないのではないかという見方もできるので、ここでは売り上げを対比で見るという見方があります。

株価を売上高対比で見るものをPSR(株価売上高倍率)と言います。これが新興企業だと10倍以下だったら比較的に伸びている企業だったら割安というふうにも見られることがあります。

そのPSRを見てみると、メルカリで8.9倍、ラクスで25.7倍、freeeで39.4倍、弁護士ドットコムで66.2倍、BASEが36.2倍とメルカリ以外は10倍を大きく超える水準となっています。

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これだけPSRが高いと、いくら今後利益を出すようになっても、企業規模自体が何十倍にもならないことにはPERで見たときにまっとうな水準になるのは到底難しいというような状況にも陥るわけです。

したがってこれを見る限り、私たちのような腰を据えた長期投資家から見ると到底手が出せない水準ということになります。

以前の高騰はその後どうなった?

では、なぜ上がっているのかというと、投資家の期待が上昇しているからです。

いずれも政策だとかDXの波に乗る銘柄だと見られていますから、まず買いがどっと入ります。

そこで株価が上がっているのを見ると短期的な投資家が今のうちに儲けてやろうと思って買いが買いを呼んで、株価がどんどん押し上げられているという状況なのです。

このような現象はマザーズのような新興市場ではよく起こります。

かつて高値を記録した2018年の1月頃の状況を見てみましょう。

当時の時価総額上位の銘柄は、そーせい、ミクシィ、CYBERDYNE、ジーエヌアイ、サンバイオなどで、皆さんも耳にしたことがある銘柄群なのではないかと思います。

特に特徴的なのがそーせい、それからジーエヌアイ、サンバイオと、いずれも医療関係バイオ関係ということになります。薬というと、どうしても1つの薬がうまくいけばとんでもない利益を上げることがありますので、そこで夢を買う投資家が一気に殺到して株価が上昇するということもあります。

またサイバーダインは介護用ロボットで、体につけて楽に人を持ち上げられるというようなものです。当時はテレビでも盛んに取り上げられていました。

ただ、これらの企業の業績はPERを見たときに、ミクシィを除けばいずれも赤字という状況でした。

では、ここから株価がどう推移してきたのか、1つ1つ見てみましょう。

Next: かつて時価総額上位だった銘柄はどうなった?

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