9月日銀会合の議事要旨が11月4日に公表された。このなかの日本景気の先行きについて、コロナ禍によって年金不安や長寿リスクが意識されたとの意見がある。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)
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将来不安を助長したコロナ禍
9月16日・17日に開催された金融政策決定会合の議事要旨が公表された。このなかの日本景気の先行きについて下記のような意見があった。
このうち一人の委員は、年金不安や長寿リスクが消費の重石となっていたもとで、今回の感染症により予期せず将来の所得が減少するリスクが認識されたことで、家計の貯蓄性向が更に高まり、消費の下押し圧力となることが懸念されると述べた。
新型コロナウイルスの感染拡大とその拡大を防止させるためのロックダウンの実施などは、我々の意識や生活様式を大きく変革させた可能性がある。テレワークの実施などもそうであろうが、それ以上に予期せぬリスクが意識されたのではなかろうか。
国民は「守り」に入るしかない
地震などの自然災害だけでなく、今回のようなパンデミックの発生時には人為的に経済にブレーキが掛かってしまう。
日常が日常ではなくなり、将来が見通せない状況に陥るとなれば、我々はある程度守りに入らざるを得ない。
その結果としての個人では資金を預金に振り向けるなり、企業では危機時に大きなバッファーとなる内部留保を見直すなりするであろう。
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