冬場の観光促進でコロナ「第3波」
次に、コロナ対策も経済優先の色合いが濃く、コロナ禍で苦境にあえぐ観光、レジャー、飲食業を救済するために、各種「Go To」キャンペーンがとられています。
当初感染者数の多い東京は、トラベルの対象から外れましたが、10月からこれも認められた結果、若い人を中心に、「お得感」のある旅行・飲食にひかれて人が動くようになりました。
人が動けば、ウイルスも動きます。特に若い人はウイルスを保有していても無症状か、軽い風邪程度のケースが多く、知らないうちに人に感染させている可能性が指摘されています。
現在、家庭内感染が急増し、飲食店や旅先での感染の可能性も指摘されています。北海道では1日200人もの感染者が出るようになり、全国でも1,000人を超える感染者が出て、医療関係者は危機感を持つようになりました。
まさに「第3波」の様相ですが、政府はコロナの感染抑制よりも、コロナで被害を受けた業界の救済に重点を置いて、人が動くキャンペーンを拡大しています。
日本の感染予防は国民任せ。欧米は警戒を強める
欧米では秋以降、気温の低下とともに感染がまた急増し、欧州では再びロックダウンを余儀なくされている国が少なくありません。フランス、ドイツ、英国など主要国で経済規制、行動規制が強まっています。
日本でも明らかなクラスターが数多く発生し、家庭内感染が急増しています。この流れを止めないと、年末年始のイベント時期に経済活動、移動を制限せざるを得なくなる懸念があります。
米国でファイザー社のワクチン利用にめどが立ったとはいえ、日本でこれが使えるようになるのは、早くて来年春以降です。しかも、ワクチン保存に必要なマイナス70度の冷凍施設を持つところは限られます。まだワクチンの実用化には程遠く、この冬をどう乗り切るかが大きな課題となります。
政府は相変わらず感染予防は国民や企業任せで、自ら感染防止策をとろうとしません。年末年始の経済が止まってしまうと、GDPのみならず、国民の喪失感も大きくなります。これは政府にも逆風になります。