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なぜトヨタは電気自動車を作らない?2030年ガソリン車販売禁止に焦らぬ訳=栫井駿介

電気自動車はコストが高い

なぜ、そのような戦略を取っているのでしょうか。

ここで考えなければいけないのが電気自動車のデメリットということです。

電気自動車といえば航続距離が短いとか、電池が劣化してしまうということなどがあげられます。この電池の劣化とか航続距離に関しては技術革新によって、かなり良いところまできたという風に言われています。

一方で、何より最大のデメリットと言われるのがとにかく値段が高いというところになります。なぜ高いか、それは電池の値段が高いからに他なりません。

電気自動車になるとガソリン車に比べて部品定数自体はおよそ3分の1になると言われていますが、一方では、ほとんど電池の塊みたいなものになるワケです。

この電池というのが希少金属なども使っているので、価格自体は需要が増えれば増えるほどむしろ上がってしまう可能性すらあります。

ですから逆に言えば、一般の消費者は環境というところは抜きにして、この電気自動車を導入するメリットって何なのかというところを考えると、1つには自宅で充電できてガソリンスタンドに行く必要がないというところが挙げられると思います。

ただし自宅で充電するためには自宅の電源設備をコストをかけて、多少改修をしなければならないというところもあるので、買ってすぐに電気自動車に乗れるお家というのは、まだ多くないのではないかということが考えられます。

となると、一番電気自動車を売っているテスラはなぜ売れているのかというところを考えると、これは何よりカッコイイからというところが一番大きいです。

とにかくエコで、しかも自動運転なんかもあるので、先進的でスタイルもカッコイイということになると、ちょっとお金を持っている人だったら買ってみようかなというところを、テスラは上手にくすぐっているというところがあります。

逆に言えば、現時点でそれ以上のメリットというのがなかなか見えません。

世界の勢力図に変化?電気自動車に集中するとどうなるのか

そこで政府が何とか環境のために電気自動車を普及させようと思ったら、とにかく環境車に対する補助金や減税措置なんかを行って、価格を下げるというところが必要になってきます。

単純に同じ土俵で勝負したらガソリン車、あるいはハイブリッド車になかなか勝つことはできないので、そこで自動車メーカーとしてはアリアなどもそうだと思いますが、テスラのようにカッコイイけど高い車を売るか、あるいはひたすらコストを下げる方向に行くわけなんですが、これは電池というところに限界があるということになります。

しかも、例えばアメリカからするとこの電気自動車に積極化しすぎるというのは、国際関係の中で裏目に出る可能性があります。

というのも、中国では先ほど申し上げたようなBYDやCATLといった、電気自動車に使われるリチウムイオン電池を量産する企業というのは非常に力をつけています。

ここで電気自動車ばかりに舵を切るとBYDやCATLが、ますます力をつけてしまうということになります。

そうなるとこの経済の覇権というのがどんどん中国に取られてしまいかねないので、そう一筋縄にはいかないと思います。

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