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超割安に放置されているテレビ局、株価上昇はあるか?長期投資家が見るべき3つのリスク、買いたい人への注意点も=栫井駿介

今回はテレビ局についてです。持っている資産を考えると超割安と言えるテレビ局株ですが、なかなか株価が上がりません。その理由の解説と、もしそこに投資するならどういう考えで行えばよいのかをお伝えします。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

超割安!テレビ局

テレビ局の株価は直近で上がっています。

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上昇の理由としては、業績が良かったわけではなく、市場全体として割安銘柄に期待が集まっているという背景があります。

各テレビ局の指標は以下のようになっています。

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資本収益性(ROE)が8%あればまあ優秀と言われる水準ですが、いずれも下回っています。

どのテレビ局も株価は低くなっています。

指標に大差はないものの、指標に表れない部分で私が特に割安だと思っているのがTBSです。

その根拠となるものがこちらです。

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バランスシートに手を加えて、現金・賃貸不動産(赤坂サカス)・有価証券(東京エレクトロン等)といった確度の高い資産を割り出し、そこから有利子負債を引いてNAVを導き出しました。

1株当たりのNAVが6,600円に対し、株価は1,900円と、株価の約3.5倍の価値があるということになります。

テレビ局が安い3つの理由

なぜテレビ局の株価はこれほどに低いのでしょうか。

<その1. 将来性が無い>

ひとつは”将来性の無さ”です。

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これは日本の媒体別広告費ですが、ネットが急拡大し、2018年にはテレビはネットに抜かれました。

テレビもある程度横ばいではありますが、これ以上伸びはしないと見られています。

しかも、寡占業界なので、どこかがシェアを取るということも考えにくいです。

<その2. 後ろ向きな還元姿勢>

株価が低い割には配当利回りが低いということもあります。

つまり、お金を貯めこんで株主に還元していないということです。

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平均的な配当性向は30%くらいで、成熟企業ならもっと高いのが一般的ですが、テレビ局はこぞって低いです。

フジテレビに関しては高く見えますが、利益が少ないことによるものだと思われます。

<その3. ガバナンス>

ガバナンスの問題もあります。

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このガバナンスによって守られているため、経営陣に危機感もありません。

テレビ局のように、資産に対して割安な銘柄は、その会社を買って資産を吐き出させようとするファンドが現れるものなのですが、制限があってそれができません。

買う人もいないので上がることもない、正直、上場している必要があるのかとすら思えます。

Next: テレビ局への投資はアリ?業績に明暗

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