全国の空き家がべらぼうに増えています。平成25年の調査で820万戸、空家率はざっくり13~14%くらいになります。この問題はどうすれば解決するのでしょうか。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。
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日本の空き家「800万戸」超え
空家がべらぼうに増えています。
ちょっと古いですが、平成25年の国土交通省の資料によると以下とのこと。
空き家総数:820~850万戸(賃貸物件なども含む空家)
無人の空家:318万戸(うち一戸建て:220万戸)
同年の全住宅ストックが約6,000万戸あるので、無人の空き家は全体の約5%となります。まぁ、5%くらいなら、あまりたいしたことない気もします。
これに賃貸物件などの空き家も加えると、空家率は13~14%くらいになるので、まあまあ、空き家が多いかもなぁという気持ちになってきます。
当然ですが、この空家率、全国的に大きく偏りが出ます。無人の空き家の全国平均は先ほど述べたとおり5%ですが、各都道府県で事情が大きく異なります。
たとえば、東京都は空家率は2%程度しかなく、鹿児島県では約11%といわゆる10戸に1戸空き家があるという状態になっているのです。
活用できない空き家、活用できる空き家
さて、そんな空家のうち、腐敗・破損していたり耐震基準を満たしていないなどで活用できない空き家の総数は約220万戸あります。
その内訳は、以下とのことです。
・耐震性なし:140万戸
・腐敗・破損:81万戸
特に、腐敗・破損している空き家については、放置していると崩れて事故の原因となったり、アスベストなど有害な物質の飛散の原因になったりする恐れがあります。
空き家対策特別措置法などにより一部の特定空家には、行政代執行と呼ばれる「行政による強制撤去」が行えるようになったものの、その費用はなかなか回収できないことが多いのです。
地方自治体および国は、活用できそうな空家を登録する空き家バンクを推進していますが、活用できるとされる空き家はたったの46万戸しかなく、全体のほんの一部となります。
それ以外の空き家は、基本的には所有者がその費用負担で建て壊すなり修繕するなりしなくてはならないのですが、これまた費用負担が重く、誰もやりたがりません。
そりゃ、当たり前ですよね。
1円の得にもならない空き家の解体費用に突然200万円払えといわれて、払える人はあまりいないはずです。まして、空家を解体したら固定資産税が増えるし、まったく経済的インセンティブがありません。
結果として、相続放棄などで空き家の所有権を放棄してしまうというのが最も手っ取り早い解決法になります。