楽天モバイルの参入、政府の値下げ圧力からのドコモの格安プラン発表など、2020年に大きく動いた携帯キャリア業界は今後どう展開するのでしょうか? 携帯各社の値下げラッシュの先にある注目ビジネスについて考えます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年12月13日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
【価格破壊が続く!?】携帯キャリアの値下げラッシュの先にある注目ビジネスとは?
私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
4社の動きは政府が目指している事業者間の競争促進という面で思惑通り?
――(伊佐山真里)皆さんこんにちは。2020年に大きく動いた携帯キャリア業界について、シバタさんに質問していきたいと思います。シバタさん、よろしくお願いします。
――今年の携帯キャリア業界の大きなニュースを振り返ってみましょう。4月に楽天モバイルが、1年間無料という驚異的なプラン提供で新規参入しました。8月にソフトバンクグループが携帯会社ソフトバンク株を約1.2兆円売り出し、9月にNTTがドコモを完全子会社化すると発表されました。
――このように業界全体が動いた印象がありますが、このような動きの背景には政府からの圧力があると思います。4社の動きは政府が目指している事業者間の競争促進という面で、思惑通りになっているのでしょうか。
(シバタナオキ)これだけ動いたということに関しては、十分進捗があったのではないでしょうか。しかし、まだ本来政府がやりたかった「携帯料金を下げる」というところまでは、必ずしも到達していないです。
決して失敗したということではなく、まだプロセスの途中でしょう。これからまだまだやることがあり、色々なことが起こるのではないかと思います。
解約率について
――色々な携帯キャリアが値下げをしてきましたが、解約率を見ると1.5%以下でとどまっています。これを見るとユーザーが動いていない印象があるのですが、その点はどうでしょうか。
これは四半期の解約率なので、仮に四半期あたり0.5%だとしたら、1年間で2%です。数千万人いるうちの2%ということは、数十万人程が動いているといえます。
プライス・センシティビティ(価格感度)は人によって異なるため、値段が重要だという人と、そうではない人がいます。今のところ解約率は高くありませんが、値段が重要だという人は徐々に動いていくでしょう。
また、ファミリープランなどの契約期間の縛りにより、政府が問題視しているような割と厳しいロックがかかっているために、すぐに動けない人もいるはずです。
プライス・センシティビティが高い人から、徐々に安い方のプランに流れていく、ということが今後起こると思います。