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今上天皇「最後の聖戦」 生前退位は日本人を守る最終兵器となるか=不破利晴

参院選に引き続き、世間では実に不毛な都知事選が展開されているが、そのような中で天皇陛下(今上天皇)による「生前退位」のニュースが飛び込んできた。これは新鮮な情報体験でもあった。さすがに、あらゆるメディアがこれに反応した。

このニュースは驚きと衝撃として捉えられ、一時的に都知事選のニュースを完全に吹き飛ばした感がある。メディアは「まだ元気なうちに後継者にバトンを渡し、今後の行く末を見守りたい」といった天皇陛下の健康面を中心とする論調でこのニュースの経過を説明しているが、事の本質は全く別のところにあると私は睨んでいる。(『インターネット政党が日本を変える!』不破利晴)

日本人を動かすのは、昔も、そして今も「天皇」かもしれない

譲れない「世界平和」

天皇陛下の想いは「憲法9条」にあると私は信じている。

言うなればこれは、「今上天皇による最後の聖戦」といった位置づけにあると思うのだ。

先の参院選で改憲勢力が3分の2を超え、いよいよ憲法改正が明確に射程に入った。安倍首相が憲法改正、とりわけ憲法9条改正を目論んでいるのは誰の目にも明らかだが、それを最も憂いているのは他ならぬ天皇陛下だと私は思うのだ。

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参院選の結果に触れ、天皇陛下は覚悟を決められたのではなかろうか。

生前退位するということは、現在の皇太子にバトンを渡すということ。そして皇太子が憲法9条を守りたいという想いは、無論、天皇陛下同様であることは疑いようもない。

新天皇が生まれる際は、極めて荘厳な儀式が執り行われることだろう。その席で新天皇は全国民に向け、メディアの前で宣誓を行うことになるだろう。その誓いは、日本国憲法の象徴天皇に始まり、憲法の基本原則(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)に触れ、そして世界平和を語ることになるはずだ。

特に、世界平和は現在の天皇陛下にとって譲れない一線であり、新天皇もそのことについて熱く語ることになるであろうことは間違いない。

その時、特に強く強調するのが、紛れもなく「憲法9条」のはずなのだ。なぜならば、「日本国憲法=憲法9条」と言い切っても構わないからだ。

憲法改悪の危機を迎える最中、そのような「象徴的」出来事が起きればどうなるか?憲法9条改正の気運など吹っ飛ぶのではなかろうか?

憲法9条を失うことは日本国憲法を失うことであり、それは日本人にとって天皇陛下をも失うことの「象徴」として、潜在意識で捉えられるだろう。

なぜなら、憲法9条の精神により、日本及び世界平和を願う天皇陛下の存在そのものが、実は憲法9条を「象徴」する実体であると、我々日本人の無意識の構造の中にどうやらビルドインされてしまった気配を感じるからである。

であるならば、自民党の安倍政権による稚拙で些末な悪意に満ちた憲法改悪といった事態に、我々日本人は絶対に耐えられないはずなのだ。

つまり、天皇陛下の生前退位は憲法9条を守り、さらには日本人を守るための最終兵器なのではなかろうか。

Next: 陛下に手も足も出ない安倍首相、できるのは「報道管制」のみ?

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