ボリビア大統領はなぜ今「IMFと世界銀行からの自立」を宣言したのか?

ボリビア大統領が「IMF・世界銀行からの自立宣言」を行いました。南米の片隅で起きたことですが、いかに米ドル・米国が弱体化しているかを推し測れます。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年8月2日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

米国一強の時代は終わった。世界は緩慢な地殻変動を起こしている

ボリビア大統領「国際金融組織からの自立宣言」

ボリビア大統領が「国際金融組織からの自立宣言」を行ったとの報道がありました。南米の片隅で起きていることであり、大きな動きとは言えないでしょう。しかし世界は緩慢ですが、地殻変動を起こしています。
参考:http://ahtribune.com/economy/1803-bolivia-morales-world-bank-imf.html

報道のポイントは下記の通りです。

ボリビアのEvo Morales大統領は、IMF国際通貨基金及び世界銀行はボリビアに有害な影響をもたらすので、そこからの自立をすると同国のテレビ報道で語った。

Morales大統領は、自身のツイートで「1944年にブレトンウッズ体制は終焉し、IMF世界銀行が誕生したが、それ以来、この2つの組織がボリビアの経済や世界経済の運命を握ってきた。しかし現在、ボリビアとしては、この2つの組織からの完全独立を宣言することができるようになった」と述べている。

Morales大統領は「この2つの金貸し組織に対して、ボリビアは大きく依存してきた。それは、ボリビア政府中枢にIMFの事務所が置かれていただけでなく、政府閣議にさえもIMFの役人が出席してきたことで、充分に理解できることである」とも述べている。

現在、ボリビアは南米共同市場(Souther Common Market)に加盟する動きを進めている。

過去に対外債務で苦しんだボリビアは、借金返済の一環として、2000年に米国のBechitel社によってボリビアの最大都市Cochabambaの上水道の水利権を召し上げられるという事態に発展して大騒乱となったことがある。

この抵抗運動の発端は、IMFと世界銀行が採った経済政策(債務返済手段としての)が原因であった。当時の抵抗運動の主眼は、水利権の収奪に対するものだけでなく、公的サービスの削減、国営事業の民営化、給与引き下げ、労働者の権利の収奪等の国民窮乏化政策に対してのものであった。

2006年にMorales大統領が政権を握り、医療健康教育プログラム貧困対策プログラムに関する支出は45%伸びている。石油産業の国営化により、貧困層は60%から40%に減り文盲率は13%から3%へ、GDP成長率は年率5%(過去の3倍)に伸び、最低賃金は4倍となっている。

記事に登場するSouthern Common Market(MERCOSUR)とは、南米諸国家の共通市場圏を作ろうとする動きです。正式加盟国は、Argentina, Brazil, Paraguay, Uruguay, Venezuela。正式加盟国ではないが準加盟国になっているのは、Bolivia, Chile, Colombia, Ecuador, Peru. Mexicoとなっています。

<南米共通市場圏、Southern Common Marketの加盟国地図>

赤色が正式メンバー国

赤色が正式メンバー国

<Evo Morales大統領>

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<ボリビアの失業率の推移>

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<ボリビアの最低月額賃金の推移>

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IMF(国際通貨基金)や世界銀行という貸し手は、世界覇権通貨の米ドル支配の根幹部分です。南米の国家がここからの独立を公言することなど、以前には考えられなかったことです。いかに米ドル、米国が弱体化しているかが推し測られます。

南米の小国の叫びなど、ごまめの歯軋りと言えましょう。しかし今の世界は、緩慢であっても地殻変動を起しているのです。

Next: 米国一強時代の終焉。イランとイラクの「軍事協力」は何を意味するのか?

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