酒税法が改正され、ビール系飲料にかかる酒税が段階的に統一される見通しになりました。統一後は、ビールは減税、発泡酒などは増税となります。今回の酒税統一は、これまでのメーカーの創意と工夫を台無しにすると同時に、安価なビール系飲料を求める庶民いじめという見方も頷けます。しかし、見方を変えると悪いことずくめでもないようです。(『資産1億円への道』山田健彦)
酒税統一は、内気な「日本のビール業界」が世界へ飛び立つチャンス
異様に高い日本のビール税
酒税法が改正され、ビール系飲料にかかる酒税が段階的に統一される見通しになりました。
現行の税額は350ml当たり、
- ビール:77円
- 発泡酒(麦芽比率25%未満):47円
- 新ジャンルのリキュール(発泡性):28円
となっています。
統一後は、ビールは減税、発泡酒などは増税となります。
ところで日本のビールの酒税額は国際的に比較して極めて高く、ドイツの19倍、アメリカの9倍となっています。
350mlあたりに占める酒税負担額は、下記となっています。
- 日本:77円
- フランス16円
- ドイツ4円
- アメリカ9円
しかも日本の場合、消費税は酒税を含めた価格にかけられ、二重課税となっています。
日本のビールメーカーは、この国内のビールに課せられた高い税額に対処するため、味はビール風ですが「税額の低い」低価格商品の開発に注力してきました。メーカー側の創意と工夫で、消費者の要望に応える新商品を開発・供給してきたわけです。
今回の酒税統一は、これまでのメーカーの創意と工夫を台無しにすると同時に、安価なビール系飲料を求める庶民いじめという見方も頷けます。しかし、見方を変えると悪いことずくめでもないようです。
いびつな税制がメーカーの体力を消耗させてきた
ビールメーカーはこれまで、このいびつな税制の影響で、発泡酒やリキュール系のビール飲料の新ブランドを立ち上げては廃止することを繰り返し、開発、販売にお金や要員などを割いてきましたが、今後はこれらのものに社内資源を割かなくても良くなります。
実際、発泡酒やリキュール系のビール飲料は、国内はともかく、海外では全くと言って良いほど売れていません。さらに価格競争による国内シェア争いは経営の体力を奪いました。ビール系飲料全体の市場規模も1994年のピーク時より3割減っています。
Next: 韓国の人々が、日本のビールを飲みながら日本の悪口を言っている!?