カネの流れで見えてきた「なぜトランプはエルサレムを首都認定したのか?」=矢口新

トランプがエルサレムをイスラエルの首都と認定したことで、にわかに中東情勢が緊迫してきた。米国は中東、あるいは世界をどうしようと目論んでいるのだろうか?(矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2017年12月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

完成したイラン包囲網。「カネの流れ」で読み解く中東情勢の真実

米のエルサレム首都認定が新たな火種に

米トランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認定したことで、にわかに中東情勢が緊迫してきた。それに先立つ、サウジアラビアのカタールやレバノンに対する攻勢を踏まえ、中東情勢を5枚の図版で解説してみたい。

<図版1>

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中東情勢緊迫化の布石は、2017年6月にサウジアラビアが突如、カタールに国交断絶を言い渡した頃に始まる。

上図にあるように、対立の根っこは、サウジアラビアとイランにある。両国はイスラム教の宗派の違いだけでなく、民族も言語も違う大国同士だ。

ここで特筆すべきは、イランが支援しているとされるレバノンのヒズボラに対して、サウジアラビアとイスラエルが協調して向かっているとされることだ。

サウジアラビアの皇太子は、2017年後半に発表したスマート都市構想でも、計画はイスラエル・エジプトの海岸線にまで及ぶとした。友好国扱いだ。

ここにきて米トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した要因の1つは、アラブの盟主とされるサウジアラビアが、このところ親イスラエルに傾いていることかもしれない。

ちなみに、イスラム教シーア派はイランとシリアだけ。イスラエルはユダヤ教。レバノンはキリスト教国だ。

米国は世界をどうしようと目論んでいるのか?

<図版2>

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米国が中東、あるいは世界情勢をどう捉えているか、あるいは、どうしようと目論んでいるかの示唆は、米国による軍事援助からも伺い知ることができる。

外交は外交辞令という表現があるくらいに当てにならないが、資金援助(特に軍事資金の援助)は本音中の本音を表していると考えられるからだ。

上図の赤が安全保障濃い赤が緊急軍事支援だ。

安全保障では、イラク、アフガニスタン、イスラエル、エジプト、ヨルダンの順に多い。

緊急支援では、エチオピア、シリア、レバノン、ウエストバンク、イエメンと、図版1から予想されるような所が多い。シリアは反政府勢力への援助だ。

イラクとアフガニスタンが多いのは、侵攻後の米傀儡政権に対する軍事支援、エジプトは「アラブの春民主化運動」を軍事クーデターで倒すことで成立した軍事政権を支え続けていると考えられる。

どちらも2016年末の数値で、トランプ政権誕生前なので、オバマ政権の頃から、こうした動きが見られていたことになる。ところが、次の図版3を見ると、少し様相が異なってくる

Next: アメリカは軍事支援を通して、中東の「新たな展開」に備えている

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