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お客様第一が会社を滅ぼす。日本企業に必要な「上から目線」の効用とは?=栫井駿介

サービスには適正な対価を

もちろん、顧客の声に真摯に耳を傾けることは企業の存続においてなくてはならないことです。しかし、企業が対応できることには限界があります。追加的なコストがかかるサービスをするならば、その対価を顧客に支払ってもらうべきなのです。そうでなければ経営は成り立ちません。

宅配業者の例で言えば、業界はすでに寡占状態であり、仮に値上げや再配達の料金徴収などを行なっても、今さら顧客離れに繋がる可能性は低いと考えます。

アマゾンは、現在プライム会員で映画や音楽を見放題・聴き放題としていますが、これを手放せなくなってきた頃に、プライム会員の料金を値上げするでしょう。実際に、アメリカのアマゾンではすでにプライム会員料金の値上げが行われています。

このように、まず顧客のニーズを掘り起こし、それを体験させた上で適正な対価を支払ってもらうことが、成長している企業に共通する戦略だと考えます。

顧客に聞けば「安くていいものが欲しい」と答えるのは当たり前です。それにいちいち応えていては、その企業は身を滅ぼすだけでしょう。顧客に聞くのではなく、「この商品はどうですか」と提案することが、企業が本来すべきことです。

経営学者のドラッカーは、「企業の役割はマーケティングとイノベーションである」と定義しました。マーケティングとは顧客の需要を満たすことであり、イノベーションとは潜在的なニーズを掘り起こすことです。今の日本企業に求められているのはまさにイノベーションと言えるでしょう。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2017年12月17日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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