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私がスイス・ユニオン銀行で目の当たりにした「為替介入」の現場=矢口新

市場介入は証券でも為替でも、大手業者を通じて行われる。証券ならば野村など。為替ならばメガバンクや大手外銀、外為ブローカーだ。当局がどのように介入するか説明しよう。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

当局の市場介入あれこれ~「日銀によるレートチェック」の流れとは?

円買いで攻める投機筋

安倍首相が4月5日、「世界各国が通貨安競争を回避しなければならない」と発言したことで、ニューヨーク市場のドル円レートは一時、約1年半ぶりに110円台を割り込んだ。

同日、菅官房長官や黒田日銀総裁が「為替レートを注視している」と発言したことも、かえって円買いを誘うことになった。

市場は日銀による介入レベルを探っているが、「世界各国が通貨安競争を回避しなければならない」のなら、円売り介入もできないはずだからだ。

黒田総裁がインフレ目標2%にむけて、異次元と自ら称する未曽有のリスクを伴う金融緩和政策を採り続けながら、同日、「金融政策だけでは無理!」と発言したことも、市場に付け込まれる隙をつくることとなった。

総裁はインフレ政策、円安誘導へのカリスマ性さえ失った。それらのことを見込んで、投機筋は2016年初来、円買いで攻めている。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

当局による「為替介入」で、実際に行われること

ここで、当局がどのように介入するかに触れておこう。

当局の市場介入は、証券でも為替でも、大手の業者を通じて行っている。証券ならば野村證券など。為替ならばメガバンクや大手外銀、外為ブローカーだ。

私は1995年に当局者がミスター円と呼ばれるようになった80円台での市場介入を、当時勤めていたスイス・ユニオン銀行(UBS)で目の当たりにした。

もっとも、私自身はポジション・テイカーと呼ばれる銀行の資金で収益を追求する立場だったので、当局の介入動向とは利害が一致するため、見えないファイアウォールに隔てられており、直接には知る立場にはなかった。

金融機関にはディーリング・ルームにも財務省担当(当時は大蔵省:MOF担と呼ばれる)や、日銀担当がいる。私は証券会社で外債ディーラーをやっていた時には、日銀担当でもあった。

Next: ディーリング・ルーム内の人間にすぐ伝わる「レートチェック」

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