「日銀によるレートチェック」の実際
日銀は外貨の出入り状況を日々チェックしているので、当社が提出した機関投資家相手の売買報告書の内容について、日銀の担当者から毎日質問を受けた。
キャリア職員のその人とは年齢が近く、毎日のことなので親しくなり、結婚披露宴にも招待して頂いた。東京湾でのクルーズを借り切った豪華なものだった。
それはともかく、日銀の市場介入は財務省の指示のもとに行われる。
まずは、MOF担を通じてレートチェックが行われる。UBSでのMOF担はディーリング・ルームのNo2、日本人ではトップの人が行っていた。
レートチェックは、MOF担がマーケット・メイキングを行うスポットディーラーに尋ねるので、ディーリング・ルーム内の人間には分かることになった。
その時の円売り・ドル買いは、過去最大、年間の貿易黒字を上回る膨大な規模で、その後の160円までの戻しのきっかけとなった。
日本の貿易収支がドル円レートの長期トレンドに最も大きな影響を与える。2011年にドル円レートが底打ちしたのも、その年から貿易赤字に転じたことが主因だ。
もし今、介入できれば大きな効果が見込めるが
その貿易収支がほぼ均衡状態となっている。ここでの円売り・ドル買い介入は、投機筋のドルの買い戻しを巻き込み、大きな効果を上げることが見込まれる。
米国を含む、世界の主要国の通貨安競争から、日本だけが降りるのでなければ、市場介入で大幅な円安・ドル高(=インフレ率上昇)が期待できるのだが――
『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2016年4月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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