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なぜ一流の経営者は他人の言葉を聞かないのか?「独断力」が成功の鍵=午堂登紀雄

前人未到の世界を生きるには己の判断を信じるのみ

昨今は環境変化が激しく、過去の成功体験が通用しない時代になっています。

AIやゲノム分野、ブロックチェーンは言うに及ばず、技術革新はものすごいスピードで進み、斬新なアイデアの商品・サービスを繰り出す新興企業が次々に出てきます。過去の延長線上では予測ができないという、前人未到の時代。

そんな時代環境において、他人の助言を判断の根拠にしても、正しい確証もなければだれも保証してくれません。

なのに他人の意見に従ったとして、成功しても失敗してもその要因を検証できないし、自身の決断力も高まらない。失敗すればむしろ後悔が残るでしょう。だから独断が必要なのです。

しかし、それはときに、周囲には「独断」「独裁」に映ります。実際、成功している人はそういうわがままな人は少なくありません。

たとえば前アップルCEOの故スティーブ・ジョブズやヴァージン・グループの創業者リチャード・ブロンソン、最近ではテスラやスペースXのイーロン・マスクなどが典型的でしょう。

特にイーロン・マスクの独走ぶりは傑出しており、不可能とも思える指示や矛盾した要求を大真面目にすることで有名です。

たとえばテスラでは「新工場を4か月で立ち上げろ」、宇宙開発事業を行うスペースX社では「ロケットの部品のコストを10分の1にしろ」と、無茶な要求ばかりだったそうです。

しかし、その結果完成したテスラのフラッグシップサルーンである「モデルS」は、プリウスの2倍の燃費なのに、ポルシェより速い。セダンなのに、ミニバン並みのスペースがあって7人乗り。

車の世界では条件的にトレードオフとなって成り立たないはずの構想を実現させているわけです。

むろん彼も専門分野についてはその道の専門家を採用し意見を聞いていたようですが、周囲の意見を採用していたら、こうしたイノベーションは起きなかったかもしれません。

「独断力」とは、マイペースで生きる力

私は、独断力を高めることは「マイペース」な生き方を獲得することにつながると考えています。

「マイペース」という言葉を聞くと、前述のような他人のことを顧みない自己中心的な態度を想像するかもしれません。

しかし、ここでいうマイペースとは、自分勝手という意味ではなく、他人に乱されず自分の生き方を尊重する力のことです。

特に現代日本のような、世間の同調圧力が強く、他人と比較し比較され、常識と異なることをすればネットで集団リンチ(炎上)に遭うような監視社会で自分らしく生きるには、この「マイペース」は重要な概念ではないでしょうか。

たとえば会社で、同期や後輩が先に昇進すれば嫉妬する。周りがキャリア女子の独身女性ばかりなら、自分も安心してキャリアを優先する。しかし周りが結婚し始めれば、自分も遅れないよう焦って婚活をする。

周りから、結婚はまだか、子どもはまだかと急かされ、それに従う。そうでなければ、窮屈でバツの悪い思いをする。あるいは大学には行かなきゃ、子どもには大学までは行かせなきゃと、誰からも言われていないのに気にする。

このように、他人や社会から強いられたり比較されたり、自分で勝手に比較して、本当は自分が望んでもいないのに、その圧力に惑わされ、本来は不要であるはずの不安や焦り、努力に巻き込まれる。

「生きづらい」というのは、本当は誰も自分を攻撃しているわけではないのに、自分が勝手に作り出した感情です。

「肩身が狭い」というのも、自分が勝手にそう思っているだけ。そんな感情を作り出すのも、周囲の常識や道徳観に振り回されているからです。

このような状態は、他人の価値観を強いられているだけで、自分の人生を生きていないと思えないでしょうか。

Next: どうせ自己責任と言われるなら、自分の判断で生きる方がいい

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