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中国共産党の「超独裁国家」建設は最終段階。創設100年機に権力集中、習近平が日本と世界を監視支配する=江守哲

北京五輪までに「デジタル人民元」導入へ

一方で、内々に進んでいるのが、デジタル人民元の導入である。すでに準備は最終段階に入っている模様である。

昨秋には実際の利用を想定した大規模な実証実験がスタートしたが、中国政府は22年2月の北京冬季五輪までに中銀が発行する法定通貨では世界初となるデジタル通貨が流通する目標を立てていた。それがいよいよ、21年中にも登場する見通しである。

当面は現金との併存が続くようだが、いずれ経済のデジタル化が進展し、社会の仕組みが大きく変わるだろう。

報道によると、実態はかなり進んでいるようである。例えば、インターネットに接続していない状態でもデジタル元をやりとりすることができるようになっているという。スマホ同士を接触させるだけでお金の受け渡しができ、通信状況に関係なく取引できることが確認されたようである。まさに、手渡しがスマホに代わっただけである。

このようなオフラインのやりとりはオンラインよりも高度なセキュリティーが求められるとされている。しかし、いまや暗号資産(仮想通貨)などに利用されているブロックチェーン技術の進化で、このようなことがすでに可能になっているという。

これにより、法定通貨のデジタル化が現実のものになりつつある。そして、その先鞭をつけているのがデジタル元である。

世界の中銀も実証実験を計画しているが、人民元のデジタル化は明らかに先行しているようである。

中国はデジタル人民元を足掛かりに、人民元の国際化を進めようとしている。デジタル人民元の誕生で、それが一気に進む可能性もある。すでに中国はアジア諸国を取り込みつつあり、将来は巨大経済圏構想「一帯一路」参加国を中心にデジタル人民元の利用拡大を図る方針のようである。まさに「デジタル人民元経済圏」の構築である。

デジタル人民元の国際化はまだ先か

こうなると、他国はもはや止められないだろう。このように、新しいことは先駆者利益がある。

米国はデジタルドルの開発・導入に慎重である。しかし、そうこうしているうちに、中国はすでにデジタル通貨の導入に向かってい進んでいる。国が力を入れていることも、他国との大きな違いである。

一方、現実的にはデジタル人民元がすぐに世界に広がる可能性は極めて低い。というのも、中国は人民元と外貨の交換を制限しているからである。

したがって、当面は貿易決済での利用を促すなどして、国際化に向けた地ならしを進めるとみられている。

Next: 焦る日米欧の中銀。中国の「監視社会」化はさらに進む

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