海外投資家の動向がより重要に
無論、外資系大手の動きが重要になる。彼らが、日経平均株価の先物・オプションの取引で、何をするのかを注視する。
いままでは、目先は2万9,000円と3万円のレンジだった。これが崩れるのか、さらに2万9,000円を割高と判断し、さらに日銀が買わなくなったことも考慮し、売りを仕掛けてくるのか、週明けの動きを注視したい。
目先は日経平均株価の騰落レシオがきわめて過熱している。そのため、調整しやすいともいえる。テクニカル調整が終われば、あとは企業業績の改善傾向がポイントになる。それまでは、日銀の買い支えにより、TOPIXが想定的に下げにくい状況が続くことになるだろう。
黒田総裁、過度な金利上昇に強い警戒感
一方、金利面の政策については、黒田総裁は「金利が上方に行って、金融緩和の効果が影響を受けてしまうのは絶対に避けなければならない」とし、過度な金利上昇に強い警戒感を示した。
日銀は金融政策決定会合後に公表した声明文に初めて長期金利の許容変動幅を具体的な数値で明記し、「プラスマイナス0.25%程度」とした。
同時に連続指し値オペの導入を打ち出し、行き過ぎた金利上昇は抑制に動く一方、下限を割り込む動きには寛容な態度を取り、上下非対称な対応を鮮明にした。
政策点検の「背景説明」では、「金利の大幅な変動は、経済・物価に悪影響を及ぼす可能性があるが、金利の変動が一定の範囲内であれば、金融緩和の効果を損なわず、市場の機能度にプラスに作用する」と指摘。金利変動の設備投資への影響分析について「長期金利の過去6カ月の変動域が50bpを超える場合を除けば、金融緩和が設備投資に影響を及ぼす度合いはおおむね不変」とした。
日銀内では、政策点検を前に金利上昇について「2つの側面」からの警戒感が浮上。連続指し値オペの創設につながった可能性がある。
1つは、停滞が続いていた日本の長期金利が米国の金利上昇に連動し始めたことである。日銀では、もし長期金利の許容変動幅を拡大すれば市場は金利上昇で反応するとの見方が出ており、3月期末を前に債券安・株安を招くわけにはいかないといった声が聞かれた。
もう1つは金利のボラティリティの拡大が金融緩和の効果を損ねることへの懸念である。2月末に世界的に金利が急上昇する中で、一部の日本企業は条件決定が困難とし、社債発行を見送る事態に発展。日銀では、金利水準のみならずボラティリティにも注意が必要だとの指摘が出ていた。しかし、連続指し値オペは使い方によっては過度に強力なツールとなる可能性がある。金利上昇を抑える脅しにもなり得るだろう。
一方、超長期金利に関しては、過度な低下が望ましくないという従来からの表現と変わらないため、長期金利が上昇しにくい分、超長期金利も上昇しにくくなる可能性もある。日銀でも、臨時オペや指し値オペを打つと「効果が出すぎてしまう」ことへの警戒感が根強いようである。