日米金利差の拡大に要警戒
今回の政策点検で日銀は国債市場の機能回復を目指した。これまで「プラスマイナス0.1%の倍程度」を許容変動幅としてきたものの、昨年6月以降は長期金利が停滞。こうした現状を打破する必要があるとの認識が日銀では強まっていったようである。
長期金利の許容変動幅の拡大観測に加え、米国の長期金利上昇により、日本の長期金利が一時0.175%まで上昇した際、日銀内でも警戒感が高まったものの、日銀は金利上昇を抑える動きには出なかった。
金利が一段と上昇するリスクから、点検結果の公表前に、買い入れオペに動けば金利水準に関する日銀の「新たな目線」となってしまう可能性があることを警戒したとみられる。
各国の金利に上昇圧力が掛かる中、金利上昇を容認できるのは米国だけとの指摘もある。日銀が打ち出した連続指し値オペは、米国の金利上昇について行かせないためのけん制効果を狙ったものではないかとの声もある。いずれにしても、日米金利差は拡大しやすくなったといえる。
また、2%の物価安定目標については、「金融緩和を粘り強く続けることで達成できる。目標がまだ実現されていない状況で、出口を議論するのはまったく時期尚早だし、適切でない」とした。これにより、日米金利差はますます拡大しやすくなる。「円安=株高」がよいと信じている日銀は、円安を狙い、株高を演出しようとしているのだろう。
しかし、円安であればよいというわけではない。このあたりの考え方が示されていないことを考えると、日銀がもっとも本音を聞かれたくない点なのだろう。
3月末までの2週間は大荒れも、株価上昇に向けた調整期間か
目先は3月期末に向けた売りが出やすいが、配当分の再投資が先物市場に入ってくる。数千億円に達するとの指摘があり、相当の下支え材料になることが確定している。この点も理解しておくとよいだろう。
これから3月末までの2週間は動きやすくなりそうである。しかし、最終的には株価上昇に向けた調整期間ととらえておくとよいだろう。
4月は株価が上げやすい季節でもある。四半期の最初の月であり、資金が入りやすくなる。警戒し過すぎると上昇相場に乗り遅れる可能性もあるだろう。
目先は騰落レシオがきわめて過熱している。調整すれば、この過熱感も払しょくされる。テクニカル調整が終われば、あとは企業業績の改善傾向がポイントになる。日本企業に関しては、発表はまだ先であり、それも内容的には強いものにはなりづらいだろう。企業経営者がコンサバティブであることが理由だが、これは仕方がない。景気敏感株である日本株が上がるには、まずは世界株式が堅調に推移することが最低条件である。
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ベースボール・パーク~「久しぶりの講演」
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本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2021年3月22日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した米国市場や為替、原油、金ほか各市場の詳細な分析もすぐ読めます。
『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2021年3月22日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。