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行き着く先は日銀破綻?マイナス金利政策のコスト負担という大問題=斎藤満

利ザヤ縮小に喘ぐ民間金融機関

ここまではマイナス金利のコストを一部預金者が利息減少で負担しているものの、ほとんどは民間金融機関が利ザヤ縮小で負担しています。

また生保など年金運用機関も、国債の利回りが10年債までマイナスとなり、外債などでより大きなリスクを取らざるを得なくなっています。

しかし、民間金融機関だけでなく、巨大な運用機関となった日銀やECB自身も、マイナス金利のコストを負担するようになっています。

日銀は民間機関からマイナス金利で国債を買い入れていますが、途中で売れなければ、満期に額面償還することで損失を出します。今までゼロ・コストの現金で資金調達し、国債などで運用して利益を上げていましたが、もはや利益は出ません。

おまけに、民間銀行に0.1%の金利を払っていれば、それだけ日銀の収益が圧迫されます。

1月に打ち出した「マイナス金利付きQQE」は、日銀の利益を圧迫する資産の買い入れを抑え、マイナス金利にしてコストの一部を民間金融機関に負担してもらおうと言う発想でしたが、予想以上に民間銀行から強い反発を受けました。

TLTRO採用なら日銀の財務問題に

先輩格のECBでは、大手銀行の経営悪化から、マイナス金利で民間金融機関に資金供給できるよう「TLTRO(条件付き長期低利資金供給)」を6月から実施します。

今は基準金利がゼロですが、これをマイナスにして銀行を救済しようと言う意図もあるようです。そして日銀もいずれこれを採用すると見られます。

これはマイナス金利策のコストを中央銀行自身が負担するものですが、今度は中銀の利益圧迫、財務問題が生じます。

日銀は当座預金の過半に0.1%の金利を払い、一方でマイナス金利の国債を年に80兆円も買い入れています。金利のついた国債が償還され、減ってゆくに従って、日銀の収益は悪化します。300兆円の国債が0.2%の損を発生すれば、6千億円の損失です。

日銀の広義の自己資本は6兆円強ですが、いずれ出口側で金利が0.7%上昇すると、資本が消えます。銀行への付利金利を上げれば、日銀は債務超過に陥ります。現在の日銀法では、日銀の損失を財務補てんできません。日銀の経営破たんとなります。

日銀の株価は2007年には17万円台をつけ、黒田日銀総裁就任に期待して10万円近くに反発しましたが、現在は3万7千円台です。

Next: ロンドンFT紙、マイナス金利による日銀の資産劣化を危惧

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