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バイデン政権下で「失業していたほうが儲かる」異常事態。日本を巻き込み何が起こるか?=高島康司

いずれは企業経営に影響

一方、このような状況の反動で、労働力不足と賃金の上昇が続いている。米経済の成長率は高い。そのため労働力の需要も増加している。だが、政府給付の拡大から失業状態を選択する人口が増えており、労働力不足が深刻になっているのだ。

このような状況は、特に中小企業にとっての経営に影響を及ぼす結果になる。労働力が不足すると、労働力の売り手市場が続くので、賃金も上昇せざるを得なくなる。これは、企業の利益を圧迫する大きな要因となる。

すでに企業は、原材料のインフレで利益が圧迫されているところに労働賃金が上昇するのである。競争が激しい産業では、これらのコストの上昇を製品価格に転嫁することは容易ではない。上昇したコストは企業が負担せざるを得なくなる。これは、特に財務体質が弱い中小企業にとっては大きな問題だ。

しばらくすると、こうしたコストの上昇が原因で、経営の継続が困難になる企業も出てくることだろう。

このまま行くと将来はスタグフレーションか?

こうした状況が続くとどうなるだろうか?

それは、深刻なスタグフレーションの出現である。スタグフレーションとは、インフレと高失業率が同時に発生して、景気が低迷する現象である。

いまの状況がそのまま続くと、将来スタグフレーションの発生が懸念されている。働かなくても収入が得られる状況は消費を刺激し、インフレを昂進する要因となる。

一方企業は、労働力不足による賃金の上昇、そして原材料価格の上昇によるコスト負担をいずれは製品価格に転嫁せざるを得なくなる。

すると、インフレがもっと昂進するというという悪循環になる。

このような悪循環が続き、インフレ率が10%や15%などという水準を越えるようになると、生産的投資そのものが減速する。インフレ率が企業の利益率を越えるような水準になると、モノを買いだめしておき、後で売ったほうが儲かる。そのため、企業への投資が減退し、モノの買い占めが横行する。

そして、これがまたインフレを昂進するというマイナスの循環になる。

これがスタグフレーションだ。これは、オイルショックで原油価格が3倍になった1973年以降、主要な先進国で見られた現象だった。日本だけは1974年の1年間だけ経験し、その後は景気を回復させたものの、アメリカやイギリスなどの主要先進国は、1980年代の初頭までスタグフレーションに苦しんだ。

いまバイデン政権の経済政策が原因で、またこのスタグフレーションがアメリカで始まるのではないかという懸念が大きくなっているのだ。

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