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中国共産党100周年で見えた5つの衰退ルート。権力維持が目的の「浮遊経済」へ成り下がる=勝又壽良

自ら敵を作った傲慢体質

中国経済の発展は2001年12月、WTO(世界貿易機関)へ加入して世界を相手に貿易が可能になったことが始まりである。この開放経済体系がテコになって、中国のGDPは世界2位へ踊り出ることになった。旧ソ連が、閉鎖経済体系にあった点と大きく異なる。だが、中国にとっては先進国からデカップリングされようとしている現在、受ける衝撃は極めて大きいはずである。旧ソ連経済になかった打撃が、中国を襲うであろう。

中国が、安全保障面で先進国の「敵」に浮上したのは、中国自身が覇権国家を目指すと宣言した結果である。先進国が、勝手に線引きして中国を排除しようとしたものではない。中国が驕っていることが原因である。

民主政治国家であれば、紛争は外交面で解決可能である。中国外交では、そのような融通性が見られない。南シナ海の島嶼を占領して、いち早く軍事基地化する。この既成事実に基づいて対抗する姿勢である。

中国は、戦前の日本軍が旧満州へ進出したのと同じパターンを踏襲している。このような行為は、当時の国際連盟から違法と断定され、日本は国際連盟を脱退して国際社会の孤児となった。この経緯を見れば分る通り、中国もいずれ南シナ海から撤退する時期がくるはずである。

それが、中国の自主的な撤退か、不幸にも戦争に敗れた結果になるのか、習近平氏の運命と同じ道を辿るだろう。日本は、敗戦で満州撤退となった。

目的を達した中共の今後

世界で初めての共産党政権をつくったソ連共産党は、どのような「大義」を持ち出していたか。

「一党独裁」の定義は、労働者や農民の階級意識を自覚させるために、職業革命家の集団である共産党指導が必要、としていた。中国共産党もこれと同じである。ソ連共産党は、創立80年で解散した。それは、ソ連共産党の目的を達成した結果でもあろう。ロシアでは、労働者も農民も教育水準が上がり、自からの判断で行動できる段階に到達したからだ。一党独裁の共産党は、不要という時代環境になったのである。

創立100年を迎えた中国共産党は、次の目標に世界覇権奪取を掲げている。これは、共産党創立の意義から言えば、完全に外れた目標である。

中国共産党の党員数は、9,191万人(2019年末時点)になった。このうち、民間企業や国有企業などに勤める事務職や研究職が3,219万人。工場労働者や農民らの3,201万人を上回った。1921年の結党以来、オフィスで働く「ホワイトカラー」が現場の労働者の数を超えたのである。

「ホワイトカラー」が、人数面で共産党の主体である農民や現場労働者を超えたのは、中国共産党の性格が変化していることを明らかにしている。労働者と農民が、主流でなくなった共産党は「アイデンティティーを失いつつある」と批判されて当然である。

中国共産党はすでに設立意義を達成して、農民や労働者の社会から「ホワイトカラー」が主流を占める社会へ脱皮したことを意味する。換言すれば、中国共産党は創立100年を経て目標を実現したのだ。

もはや、中国共産党が独裁を続ける理由はなくなった。こういう状況にありながら、共産党がなお居座るためには、強権を使って国民の不満を蹴散らす以外に道はない。

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