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コロナ禍で税収「過去最大」は政府の罠。カネをばら撒けば当たり前、ツケはこれから国民が払う=矢口新

戦後最大の経済の落ち込みなのに、なぜ税収は過去最大に?

どうしてか?

税収の大きい順に見ていくと、消費税収が21兆円と当初見込みの21.7兆円から、所得税収が19.2兆円と当初見込みの19.5兆円から、法人税が11.2兆円と当初見込みの12.1兆円からそれぞれ下振れした。

コロナ禍での想定は上記の日経新聞にある通りだ。当初見込みを敢えて付け加えるのは、平時に想定した見込みだからだ。2020年度に消費増税効果が通年に現れることはコロナ禍前から分かっていたが、それでも0.7兆円の減収となった。なぜなら、消費売上が落ちたからだ。

当初見込みから最も落ち込んだのは法人税収だ。コロナ禍は生き方やビジネス環境の大変化だ。大変化は被害と恩恵とをK字型にもたらすものだ。旅行・宿泊・飲食などは大幅に落ち込んだが、ネットやゲーム関連は恩恵を受けた。そのため、落ち込みはコロナ時想定の4.1兆円ではなく、0.9兆円で留まった。

実際、東洋経済によれば、ナブテスコが346.2%、ミズホメディーが150.3%、パソナグループが109.3%も最高益を更新している。また、キングジムは20期ぶり、アルペンと新光電気工業は15期ぶり、パソナグループは13期ぶりの最高益更新だ。

加えて、株式市場の堅調を受けた株式譲渡益課税による税収増があったにも関わらず、法人税収が0.9兆円減と最も見込みから遠かったのは、K字型の上振れした企業以上に、下振れした企業が多かったことを示唆している。

資金をばら撒けば税収が増えるのは当然

また、歳出総額が175.7兆円となったことも大きい。これだけの資金をバラまいたのだから、K字回復のように恩恵を受けるところが出てきたり、税収が過去最大となったことは驚くに値しない。また、このことは単年度の財政赤字が114.9兆円になったことを意味している。

出典:財務省

出典:財務省

前の税収トップは2018年度(平成30年度)の60.4兆円で、歳出は99兆円だ。その前は1990年度(平成2年度)の60.1兆円で、歳出は69.3兆円だ。

つまり、28年かけて最高税収を0.3兆円更新したが、赤字は9.2兆円から38.6兆円に拡大した。その2年後に0.4兆円更新したが、赤字は114.9兆円となった。

この状況で、最高税収でない方が恐ろしい。

Next: 消費税が日本の最大財源となることの恐怖

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