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なぜ日本は高圧送電線が多いのか?「電力会社を殺すか殺されるか」の段階に入った地球温暖化の現実=田中優

解決策は、小さく作った電気をその地域で消費すること

「再生可能エネルギー促進賦課金」は、わざわざ自然エネルギーの電気の電気を使わせないための障害となっている。だからFIT(自然エネルギーの電気の固定買取制度)では、わざわざ蓄電池を備えた場合は買取価格が下がるように設定されているのだ。

このような電力会社の利権のための制度には乗らない方がいい。

地域で小さく作った電気は、地域で消費した方が良いのだ。これは画期的に大きな変化だ。

今までは巨大送電線のグリッドに支配されていたのが、各地域での電力自給システムにつながる。しかも二酸化炭素の排出量は自然エネルギーの電気を使う限りゼロになる。日本で最大の二酸化炭素排出源の「エネルギー転換部門」からの二酸化炭素の排出を防げるのだ。

しかし、おそらく一番大きい影響は、家庭が買い支えてきた電気料金の収入を電力会社に与えなくなることだろう。そうしたらこれまで野放図に与えられてきた資金が途絶えることになる。

そうすると原子力発電はもとより、勝手に支出してきた仕組みが許されなくなる。

電力イノベーションは次の段階へ

それではこれで電力のイノベーションは終わりだろうか。いや、次の段階に入るだろう。

その1つはバッテリーシステムの改革だ。こんな記事が掲載された。 リチウムイオンの10%のコストで電力を保存する という「鉄空気電池システム」だ。
※参考:リチウムイオンの10%のコストで電力を保存する「鉄空気電池システム」 – fabcross for エンジニア(2021年9月6日配信)

これは鉄空気電池は、以下のような仕組みだ。

「鉄の可逆的酸化」を介して機能する。放電時には、何千もの小さな鉄のペレットを空気に晒し、酸化反応させることによって電力を発生する。充電時にはシステムに電流を流すと酸化鉄から酸素が除去される還元反応が起こる。Form Energyの鉄空気電池は最大100時間電力供給でき、コストはリチウムイオン電池の10分の1未満だという。

何度も同じ可逆反応できる鉄の性質を利用し、酸化させたり還元させたりして電気を貯蔵する。そのすごさは、まず「価格」だ。従来のリチウムイオンバッテリーの10分の一だと言う。しかも鉄の可逆反応を用いるのだから、永遠とは言わないがかなり長く使える。

こんなものが普通に使えるようになったら、間違いなく世界は変わる。そしてその変化は不可逆的なものになるだろう。もう元には戻らなくなるのだ。

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