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なぜ日本は高圧送電線が多いのか?「電力会社を殺すか殺されるか」の段階に入った地球温暖化の現実=田中優

日本のエネルギー政策は周回遅れ。発電所はすぐに「座礁資産」となる

そんな中、アメリカの大手電力会社の「ビストラ社」は、「今後のことを見越すと天然ガスの発電所など資金回収のできない「座礁資産」となる」と懸念したのだ。

そして燃料費の要らない自然エネルギーの電気とバッテリーでの蓄電に投資した。

新設した投資費用を回収できなければ、投資は浅瀬に乗り上げて座礁したタンカーのように、どうにもならない無様な姿をさらすだろう。

このようになってしまうことを例えて、「座礁資産」と呼ぶ。先日まで投資する最も安くて効率が良いはずの「天然ガス」火力発電所ですら、「座礁資産となるだろう」と見ているのだ。

日本はいったい、どこまで遅れているのだろう。日本の政策決定者と電力会社が利権となれ合いの中で談合している間に、世界は日本から見えないほど遠くなってしまった。何周もの周回遅れのランナーとなっていたのだ。

地球温暖化問題は「電力会社に滅ぼされるか、電力会社を滅ぼすか」の二者択一

だからシンプルに言うと、今や地球温暖化問題は、「電力会社に滅ぼされるか、電力会社を滅ぼすか」の二者択一を迫られているのだ。

私はこんな事態にした電力会社を免責する気にはならない。こんな会社にしないためのチャンスは何度もあった。しかしその度に電力会社はまともに取り合わず、利益と利権のために頬かむりしたのだ。

では、電気はどうしたら効率良く届けられるだろうか。

どうしたら効率よく電気を届けられるのか?

ここまで書いてきて、送電ロスの怖さが際立っていると思う。低圧の電気を送電すると、どんどんロスしてしまうのだ。

自然エネルギーとグリッドとはつくづく相性が悪いと思う。送電ロスが大きすぎて、ほとんど発電して無駄なのだ。その送電ロスとの対比で言えば、バッテリーの自然放電ロスも「Yahoo知恵袋」によれば、以下のようになっている。

ベストアンサー:jun********さん(2011/8/26 16:06)

充電効率という指標で表されます。充電エネルギーを100とした場合に、取り出せるエネルギーを示したもので、電池によって異なります。

<充電効率>
リチウムイオン電池:95~99%
ニッケル水素電池:62.5~90%
鉛蓄電池:50~92%
NaS電池:90%

この数字に加えて、直流から交流への変換ロス(80~90%程度)も加わることになるのでしょう。

現在、普及させようとしている家庭用蓄電池システムはリチウムイオン電池を利用したもので、上記の通り、効率は高くなっています。ただ、保存特性の悪さをどのように解決しているのかは不明です。

現状、安価で構築できるのは、鉛蓄電池を利用するものですが、エネルギー密度が小さく、重量が大きくなります。

※参考:蓄電池の充放電のロスは、行きと帰りでどれくらいになるのですか? – Yahoo!知恵袋

つまり、直流で取り出す時点の「充電効率」でいえば、1%~5%のロスしかないことになる。しかし、その後に直流を交流に戻すインバーターの時点で、10~20%ロスすることになる。そうだとしても従来の発送電ロスと比べると、桁違いに効率が良いのだ。

すると小さな電気の扱い方は、送電するとロスが大きくなるので送電せずに、なるべく発電した近くで蓄電した方がいいことになる。可能なら直流のまま使い、インバーターを経由しない方がいい。

そうすると小さな電気を生み出す小規模な太陽光発電パネルやピコ水力発電の場合には、その場で蓄電して使うのが良いことになる。

Next: 電力会社の利権が邪魔をする。地球温暖化はどうすれば解決するか?

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