公安が尾行していた?なぜこの時期に書類送検なのか
つまり犯罪性を仕立てるために、予め尾行していた公安のような存在が、所轄警察署につなぐことで書類送検につなげた可能性が極めて高いことを感じさせられます。
また昨年11月3日に発生した事案であるにも関らず、なぜこの時期での書類送検だったのか。
総選挙が近づき、政党間の鬩ぎあいが高まるこの時期にわざわざずらして書類送検するというこのタイミングも、相当な違和感があります。
さらに気になるのは、山添議員の撮り鉄行為を書類送検した埼玉県警本部長の原和也氏の存在で、この人物、安倍政権時にはなんと事務方の担当として内閣総理大臣秘書官を務めていたことがわかっています。
本年2月に埼玉県警本部長に就任していますから、就任後にこの件を掘り返して書類送検に踏み切った可能性も否めない状況です。
もちろんこうした判断はこの本部長の独断ではなく、内閣の中枢から指令が飛んでいる可能性は極めて高そうです。
戦前の特高警察による「赤狩り」をも彷彿とさせる事案
戦前、国内には特別高等警察(通称「特高警察」)と呼ばれる組織が存在し、国体護持のために無政府主義者・共産主義者や社会主義者、および国家の存在を否認する者や過激な国家主義者を査察・内偵し、取り締まる秘密警察として機能していた時代がありました。
敗戦後、この組織はGHQにより解体され、それに代わる組織として発足したのが公安警察ということになります。
1922年に日本共産党が結成されると、25年には治安維持法が発効し、共産主義者は一斉に摘発されることになり、戦時中には社会主義的な書籍を保有して読んだだけでもしょっぴかれるという、いわゆる「赤狩り」と呼ばれる思想統制も強まることになりました。
安倍政権下では、警察官僚が多く補佐官として内閣に関与してきたのは有名な話。
昨年、菅政権が発足した時には、長年中央省庁を支配した経産省官僚経験者が勇退したこともあって、菅首相の周辺はこの「特高」の系譜を組む公安畑の警察官僚が政権の中枢を固めることになっています。
警察庁警備局長、内閣情報官、内閣危機管理監を歴任した、現官房副長官の杉田和博氏はその最たる存在で、菅首相が事実上辞任に追い込まれることを想定せずに国会でこの政権を理路整然と批判し追い込む山添議員を追い込み黙らせるために、その周辺で行動を監視して摘発に踏み切った可能性はまったく否定できないところです。