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大阪だけ地価下落、なぜ東京・名古屋と差が付いた?コロナ禍の“三大都市圏”不動産分析(前編)=澤田聖陽

同じ大阪でもミナミは悲惨

大阪でも、キタとミナミでは状況に若干の差がある。

キタの梅田周辺はビジネス利用が回復し始めて、ばらつきがあるものの、直近では稼働率30~60%程度で推移していると言われている。

一方、ミナミはインバウンド需要依存度がより高く、直近で稼働率は10~20%台が多く、未だ休館中のホテルも多いようだ。当然ホテルだけでなく、商業施設も厳しい。

ホテルと同じくミナミの商業地域は厳しく、難波のデカ戎橋ビル(2009年竣工)の公示地価は18.5%下落と全国一の下落率となった(当ビルは2018年には1平米あたり1,580万円と大阪府下で最高の公示額になった物件である)。

業績好調の「トヨタ」で潤う名古屋圏

名古屋圏はトヨタ自動車の業績が堅調であり、同社をピラミッドの頂点としたサプライヤー各社も総じて好業績である。

このようなトヨタ関連企業の社員は信用力もあり、マンションや一戸建ての販売は好調のようで、住宅地の価格は上がっている(特に名古屋市よりも刈谷市、安城市などのトヨタ関連企業の就業者比率が高い地域の方がより上昇している)。

商業地は前年比1.0%上昇している(特に名古屋市は前年比3.2%上昇)。

名古屋圏はもともとインバウンド需要不毛の地と言われており(セントレア空港経由で名古屋を通り過ぎ、飛騨高山などに行くインバウンド客は多いようだが)、インバウンド依存度は大阪などに比べて低い。

しかしながら、名古屋でもホテルの稼働状況は苦しい。

インバウンドを含めた観光需要はもともとイマイチなのだが、緊急事態宣言で出張などのビジネス需要も大きく減少している。

また緊急事態宣言下で夜の行動が制限されており、東京から名古屋への出張は十分に日帰りが可能な範囲であるため、日帰りで済ませるというケースが多くなっているように思う。

商業地の価格が上昇したのは、そもそも他地域に比べて不動産の値上がりが緩やかだったという地域特性があるように思う。

名古屋というのは、よく言えば堅実で、バブルが起きにくい地域なのだろう。

Next: 東京のオフィス需要はどう変化した?コロナの影響を見極める

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