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岸田政権は日本株の敵か味方か。伸びる企業・低迷する企業トップ10を政策別に解説=栫井駿介

“バランス良く”格差是正なるか

最後に、岸田さんが言っていることとして特徴的なのが「金融所得課税」です。これは株式市場にとってはマイナスになりやすい話かと思います。

金融所得が今一律の配当、それから譲渡所得課税に関しては一律に20%プラス復興特別所得税という風にやっているのですが、それ自体は多くの投資家が歓迎するところなのですが、ただ高所得者になることは実は給与所得よりも金融所得が多くなるというところがあるわけです。

つまり、お金持ちほど株などをいっぱい持っているので、それによって多額の賃金、多額の所得を得ているわけです。所得税率というと普通の給料としてもらうと、最高税率が55%ですけれども、一方で金融所得が一律20%というところになってきます。

これが何を引き起こすのかというとここにあります通り1億円の壁というのがあります。所得が増えるほど当然最高税率が上がっていくので、税負担というのが増えていくのですが、それが1億を超えてくると、配当やストックオプションなどの金融所得によって今度は逆に税率が減っていって、お金持ちにとってより優位な税制となってしまっているというところがあります。

これを金持ちばかり優位にさせてはいけないということで、金融税率の引き上げを議論したいというようなことを、ハッキリと言っているわけではないのですが、そういったことを討論の中で言っていたりします。

一方で、すべての投資について適用されるわけではなくて、著書の中では短期売買にのみ引き上げると、これはアメリカでも同様の税制が取られているのですが、1年未満の保有に関してのみ税率50%とかそういったこともあり得るのではないかということは言っています。

いずれにしてもこの岸田さんの最大の特徴としては、やはりこの格差の是正というところに注目している風に見えます。

それ自体は社会的に悪いことではないと思うのですが、ただ一方では行き過ぎると株価に対してはやはり悪影響となりかねない部分があるので、そこは得意のバランス感覚を見ていただければというのが、投資家としての本音というところになってきます。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by:image by:外務省 at Wikimedia Commons [CC BY 4.0], via Wikimedia Commons
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2021年10月3日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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