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ドケチな青春、惨めな老後?「働きたくない」FIRE志望20~30代が早期リタイアで失う幸せの種とは=午堂登紀雄

若いうちは限界を突破する力をつけたほうがいい

私自身は、特に20代のうちは、アーリーリタイアなんてことを考えず、「がむしゃらに仕事に没頭し、実力を高めた方がいい」と思っています。

私も20〜30代の頃は死ぬほど仕事をして自分に自信がついたし、それでよかったと思っています。

たくさんのプロジェクトに参加し、いろんな人と会い、あちこち旅行し、挫折や逆境、修羅場を経験し、叱られ怒られ、周囲に迷惑をかけ、乗り越えてきました。限界を突破する経験は、選り好みしていてはもたらされません。

FIREしたいと考える人は、壁や苦痛や逆境や修羅場を回避することを希望しているのだと思います。自分の限界を突破するには、「苦しい」「しんどい」という苦痛を伴うことも少なくないからです。

そもそも、努力の経験がなければ、努力する方法がわかりません。そして、努力して克服した経験がなければ、本質的な自信を持つこともできません。

自分の底力はどの程度なのか、どうすれば底力を発揮できるのか。それを知るには、限界を超える必要があります。限界を超えるには、「もう限界だ」という状態に耐え、それを普通にしていくことです。

すると、これまでの限界を突破し、さらに上の限界を目指すことができます。

それが「やればできる」という実感になります。そういう経験を経ることで、本質的な自信につながり、逆境にも動じない強いメンタルを獲得します。

まあ、「別に限界なんて突破しなくていいよ」という人はそれでいいのですが。

私も確かにあの頃に戻りたいとはまったく思えないほどしんどいことも多かったのですが、そのおかげで今の自分があるという確信があります。それが資本的蓄積となり、40代以降の自由(経済的自由、精神的自由)の根拠になっていると考えています。

例えば、書籍の執筆という仕事は誰にもできないことかもしれませんが、死に物狂いで働いてきたから、そのときに得たいろんな習慣の積み重ねがあるから、こうして何十冊も書けるネタがひねり出せるのです。

でなければ、早々にネタ切れして作家生命は短命に終わっていたと思います。

2,000万円から「FIRE」は可能?

では、FIREは無意味と考えているのかというとそうではなく、私は違う解釈をしています。それは、「好きなことを仕事にするために会社員という枠組みから脱出する」ことが目的だと考えています。

雇われるのではなく、自ら事業を興し、自ら仕掛ける。そしてそれにはカリカリの節約生活では充足感がない。だから私は太陽光発電投資や不動産投資を推奨していますし、自分でも実践しています。そんなにお金を貯めなくても、不労所得を得る道筋を作れるからです。

例えば、私はある発電所を自己資金ゼロのフルローンで買ったのですが、もたらされるキャッシュフロー(収入から管理コスト・税金・ローン返済額などを引いた純手取り)は、年間約35万円です。自己資金150万円で買った発電所は、年間約90万円のキャッシュフローです。自己資金350万円で買った区分マンションは、年間約70万円のキャッシュフロー。

この3件の総額500万円の出費でもたらされる収入は、年間195万円。同じ条件で仮定すれば、1,000万円の出費で年間390万円、2,000万円で780万円の手取りになる。

投資対象を金融商品ではなく、ローンを組んでの現物商品にすれば、1億円を貯めなくても「FIRE」は可能なのです(むろん物件の吟味は必要ですが)。

1億円を貯めるのは難しいですが、2,000万円を貯めるのならまだ現実的ではないでしょうか。

そして年収780万円(ひとまず所得税や住民税、年金や健康保険料は除外して)あれば、年利4%程度の金融商品からの配当よりも、よほど人生を楽しめるに足る原資となる。

むろん、家賃は経年とともに減る、修繕費もかかる、太陽光発電も劣化で発電量は減るし、固定価格は20年間でその後は大きく下がりますが、それまでに「好きなことでビジネスをして基盤を作っておく」ことで、盤石になると思います。

Next: 動機が「働きたくない」であれば失敗する可能性が高い

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