特異点「1990年」に起きたパラダイムシフト
その糸川説による「コンドラチェフの波」は、30年の上昇、30年の下降を繰り返すとされていて、この本が出版された頃の1990年をコンドラチェフの波の下降期の終着点、すなわち1930年をスタートに上昇の30年、下降の30年の最後の年が1990年になる。
その下降期最終年、つまり1990年を、糸川先生は“特異点”とされている。
この糸川説によれば、下降期の終着点や上昇期の到着点の年は“特異点”となって、世界を震撼せしめるようなできごとが起る。
つまりパラダイムシフト(それ以前に当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化する)が起こるという仮説を述べられている。
この糸川説を検証してみると、確かに1990年は特異点だった。
東西冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩壊し、鉄のカーテンは消滅した。それは巨大だと思われていた旧ソビエト連邦の崩壊でもあった。
一方、日本ではバブルのピーク、株価は歴史的な天井をつけて、その後に暴落。20年という長いデフレ不況の出発点となった。それまで不動産価格や株価が“天まで上がる”と信じられていた価値観が一挙に足元から崩れて、膨大な借金、負債が銀行、金融機関、企業、個人に押し寄せて不良債権の山を築いた。
そして、その1990年を出発点に30年後は上昇期の到着点になる。それが「2020年」という年だったのです。
2020年から始まったコロナとの戦い
2020年に何が起ったか?言うまでもなく、新型コロナウイルスが世界中に拡散した。まさに我々はパンデミック、新型の感染症の世界的な大流行に直面したのだ。
今も世界の人々はコロナと戦っている。
さて、ここから糸川説を参考に未来予測してみると、2021年からは「コンドラチェフの波」の下降期が始まっていると言える。
その下降期の特徴・特性とは、前述のように「仮説2:技術革新仮説」が有力シナリオとなってくる。
つまり、次の30年間はコロナとの戦いだ。
2020年以降、パンデミックとの戦いが続くので、すでに、バイオテクノロジーやライフサイエンスの分野に技術革新が生まれている。
2022年以降もコロナ不況が長く続くことも予想される。
そのような不況の中から、なんとかして、この不況を脱出しようということで、新しい試みが生れる。つまり、技術革新が起こる。
では、どんな重要な発明・発見が生まれそうか?