「コンドラチェフの波」は30年毎に上昇・下落が切り替わるという60年周期の景気循環説。これによると1990年と2020年は変化が起きる特異点となっている。そこで何が起きたのかを理解することは、今後の相場を読み解くヒントになる。(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)
※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2021年10月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:菅下清廣(すがした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、学校法人立命館顧問 近畿大学世界経済研究所客員教授。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。
60年で景気が一巡する超長期サイクル「コンドラチェフの波」
「コンドラチェフの波」という景気のサイクルがあります。
ロシアの経済学者ニコライ・D・コンドラチェフが、1927年に世界の主要な資本主義国の景気変動に関する一連の論文を相次いで発表した。
コンドラチェフは当時の資本主義国、英国、米国、フランス、ドイツの過去140年間(1780~1902)の経済動向についてさまざまな統計資料を使って調べ上げた。
その結果、およそ50年から60年くらいの周期で、景気が上昇と下降を繰り返すという法則を発見した。これが景気の長期波動説、世にいう「コンドラチェフの波」である。
なぜ30年間の上昇・30年間の下落を繰り返す?糸川氏「4つの仮説」
コンドラチェフが、この景気波動説を唱えたとき根拠となったのは、物価・賃金・利子率・貿易高などの統計資料である。
これらの指標をもとに、彼は4つの仮説を打ち出した。なぜ50年から60年くらいの周期で、景気が上昇と下降を繰り返すのか?という仮説だ。
<仮説1:戦争仮説>
波動が上昇しているときは、市場や原料をめぐる経済的闘争が増大する。だから広範囲にわたって、戦争や革命が起きる。<仮説2:技術革新説>
下降期間中に重要な発明、発見が生産や交通などの分野で生まれ、その技術が次の波動が上昇しはじめるとき大規模に投入される。<仮説3:農業仮説>
下降期間中は、とくに農業が悪化し、長期にわたって不景気におちいる。<仮説4:金=貨幣仮説>
原則として、上昇局面の初期には金の生産が増大する。その結果、世界市場は、新しい国とくに植民地的な国々を同化することによって拡大する。※出典:1992年10月31日初版『復活の超発想』(徳間書店)57ページからの過去と未来・歴史の特異点とは?「コンドラチェフの波」とは何か?糸川英夫先生の著書から抜粋・要約
糸川英夫氏と言えば、戦前は、戦闘機隼(はやぶさ)などの設計に関わり、戦後はペンシルロケットに始まるロケット開発や宇宙開発を先導し、「日本の宇宙開発、ロケット開発の父」と呼ばれる(Wikipediaより)
要は、日本が生んだ天才のひとりである。