欧州でもグリーンフレーションの危機が始まっている
欧州では、気候変動対策に端を発する物価上昇、いわゆるグリーンフレーションの危機はかなりの高まりを見せています。
とくにガソリン価格の上昇や天然ガス価格の暴騰は、確実にコストプッシュインフレによる「スタグフレーション」の到来という、深刻な状況を露呈し始めています。
原発を持続可能エネルギーではないと規定しているドイツでは、様々な電力創出に取り組んでいますが、ひとたびロシアから天然ガスの供給が絶たれることになれば、この冬が乗り越えられないという、とてつもない危機的状況に直面しています。
EU全体を見ても、カーボンニュートラルなど口にしていられないのが実情です。
さらにEUから離脱した英国はもっと深刻で、きめ細かい脱炭素化へのマイルストーンもないままに、むりやり石炭・石油への依存を減らそうとする英国政府の方針がそのまま仇となっています。
天然ガス価格は高騰、発電コストも上昇し、そもそもロンドンではクルマに給油するガソリンすら供給がうまくいかないといった、凄まじい事態に追い込まれています。
日本のガソリン価格200円超もありえる
すでに国内でもガソリンの店頭価格はレギュラーでも160円台を超えており、これに円安が絡むことになれば、200円に接近することさえありえな話ではありません。
灯油価格も急激に上昇しはじめており、燃料主導のスタグフレーションが起きることは充分に考えらる状況です。
国内経済を見ていますと、まだデフレから抜け切れていないように見えます。
しかし、この燃料関連での価格上昇は、間違いなく日本にも大きな影響を与えることが危惧されるところです。
世界同時グリーンフレーションになった場合、為替はどうなる?
グリーンフレーションといえる状況が、どこまで現実のものになるのかどうかは、今のところよくわかりません。
資源価格の高騰によるインフレ、もしくはスタグフレーションが、世界同時に起きることになれば、為替がどうなるのかが非常に気になるところです。
足もとでは、ポンドやNZドルなど中銀が利上げを行う構えを見せているところの通貨は、確実に上昇を遂げています。
米国のように利上げを様々な理由から渋っている場合や、日本のようにそもそも金融緩和を何があってもやめられないような国の通貨は、トルコリラに象徴されるように通貨安へとシフトすることが予想されるところです。
米国はこの冬、石油の需給はそれほど逼迫しないと予想されているようですが、問題は日本です。
この冬、思わぬ円安が示現する可能性も充分に考えておく必要がありそうです。